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戸籍附票から探る自分のルーツ

こんにちは BOKUです。

戸籍住民関係の部署にいたときに、
ふるさと納税 ✕ 「戸籍附票」 ✕ 観光ガイドを組み合わせると
自分のルーツを訪れるその人だけの観光ガイドプランを提供でき、面白いんじゃないかと考えたことがあります。

今回は「戸籍附票」を中心に、このアイディアに至るまでの考え方や自分のルーツを探る手段についてnoteにまとめていきます。


理由1 戸籍附票で住所の履歴が分かる

初めに「戸籍附票」の説明から入ります。
似たような言葉に「戸籍」、「住民票」、「戸籍附票」の3つがあります。
この3つにはどれも同じように「〇〇県〇〇市△△◯◯番地◯」というような記載がされているので、混同してしまいそうです。
簡単に違いの説明をすると
「戸籍」       →戸籍を登録している場所(本籍)の記載がある
「住民票」   →現時点で住んでいる場所(住所)の記載がある
「戸籍附票」→住民票と戸籍を連携させるもの。
       住所の履歴が記載されている戸籍附票

法務省や総務省のウェブサイトでは、戸籍や住民票、戸籍附票について次のように説明があります。

戸籍
戸籍は、人の出生から死亡に至るまでの親族関係を登録公証するもので、日本国民について編製され、日本国籍をも公証する唯一の制度です。戸籍事務は、市区町村において処理されますが、戸籍事務が、全国統一的に適正かつ円滑に処理されるよう国(法務局長・地方法務局長)が助言・勧告・指示等を行っています。
戸籍を登録している場所のことを本籍と言います。本籍は日本国内であれば、どこでも好きな場所に決められます。ただし夫婦の間に生まれた子どもだけ戸籍を分けることはできないため、子どもは親の戸籍に入り、本籍が親と同じになる決まりがあります。

住民票
「住民票」は、市町村における住民の現在の居住関係(現住所)を公証することが目的のもの。住民基本台帳法(第5条等)に基づき、市町村ごとに作成しています。住所は住民票の届け出を行っている場所です引越した後きちんと住民票を異動させているなら、現時点で住んでいる場所が住所です。
一方、本籍は戸籍を置いている場所のことを指します。住民票と戸籍はまったく別のものなので、住所と本籍も意味が違うのです。本籍は自由に決められるので、住所と同じ方も違う方もいます。

戸籍附票
住民票の氏名等の情報を戸籍の氏名等の情報と一致させるため、住民票と戸籍を連携させるものとして「戸籍の附票」が存在。戸籍の附票には、これまでの住所の履歴が記載されている。

法務省や総務省のウェブサイトより

ここで注目したいことは、本籍は自由に決められるという部分です。そのために「皇居」や「城」「球場」を本籍地にしている人も多いそうです。

実際にその地に住んでいなくても自由に決められるので、本籍を確認しても、実際にどこで生活をしていたかは分かりません。
戸籍は親族関係を把握していくには必須アイテムですが、当時の住んでいた場所を知るには住民票の情報が必要です。
つまり、それは住民票か戸籍附票ということ。

理由2 直系卑属が取得できるのは戸籍附票

戸籍の附票の記録にまさに当時住んでいた場所の情報が記載されていることが分かりました。
次はどうしたら附票を取得できるのか。まずは住民基本台帳法の交付用件に関する条文を確認します。

(除票の写し等の交付)
第十五条の四 市町村が保存する除票に記載されている者は、当該市町村の市町村長に対し、その者に係る除票の写し(第十五条の二第二項の規定により磁気ディスクをもつて除票を調製している市町村にあつては、当該除票に記録されている事項を記載した書類。次項及び第三項並びに第四十六条第二号において同じ。)又は除票に記載をした事項に関する証明書(次項及び第三項並びに同号において「除票記載事項証明書」という。)の交付を請求することができる。

(戸籍の附票の写しの交付)
第二十条 市町村が備える戸籍の附票に記録されている者(当該戸籍の附票から除かれた者(その者に係る全部の記載が市町村長の過誤によつてされ、かつ、当該記載が消除された者を除く。)を含む。次項において同じ。)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、当該市町村の市町村長に対し、これらの者に係る戸籍の附票の写し(第十六条第二項の規定により磁気ディスクをもつて戸籍の附票を調製している市町村にあつては、当該戸籍の附票に記録されている事項を記載した書類。次項及び第三項並びに第四十六条第二号において同じ。)の交付を請求することができる。

(戸籍の附票の除票の写しの交付)
第二十一条の三 市町村が保存する戸籍の附票の除票に記載されている者又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、当該市町村の市町村長に対し、これらの者に係る戸籍の附票の除票の写し(第二十一条第二項の規定により磁気ディスクをもつて戸籍の附票の除票を調製している市町村にあつては、当該戸籍の附票の除票に記録されている事項を記載した書類。次項及び第三項並びに第四十六条第二号において同じ。)の交付を請求することができる。

住民基本台帳法:第十五条の四の第1項、第二十条の第1項、第二十一条の三の第1項を抜粋

条文には他にも、利害関係人の請求(第三者請求)のことも載っていますが、抜粋部分で伝えたいことは、住民票の除票は本人からの請求しか認められていないが、戸籍の附票や除附票は直系の関係があれば請求できるという点です。

つまり、直系卑属であれば、戸籍の附票の除票(除附票)が取得できます

理由3 戸籍の除附票を法令改正前に廃棄していない

理由1と理由2から、
どこの自治体でもふるさと納税 ✕ 「戸籍附票」 ✕ 観光ガイドを組み合わせて真似できるアイディアではないかという疑問が生まれたかと思います。

ここでキーワードになるのが、法改正と保存年限です。

戸籍の附票の除票は、法令が改正され令和元年6月20日より5年間から150年間保管することになりました。法改正となる以前の平成26年3月31日以前に除票及び改製原附票となった戸籍の附票が本来ならば廃棄されているはずです。
※平成26年3月31日以前に除票及び改製原附票となった戸籍の附票は、各自治体によって廃棄され、すでに取得できない場合があります。

ところが当市では廃棄せずに保管していたということで、平成26年3月31日以前に除票及び改製原附票となった戸籍の附票も廃棄されていないものは、150年間保存しなければならなくなっていました。
日本人気質のもったいないの精神が根付いてたんですかね。それとも、附票は重要な資料だということで、自治体判断で廃棄を保留していたんでしょうか。つまるところ多くの自治体では廃棄されているものが、当市には廃棄されずに残っているということ。

150年間管理しなければならないという責任がある一方で、この部分を
ポジティブに捉えると、他の自治体には真似のできないオンリーワンを実現できるような気がしてきました。

補足

現在の戸籍の保存期間は150年
平成22年度の改正前に古い戸籍は各自治体によって廃棄され、すでに取得できない場合があるのです。たとえば昭和4年(1929年)に死亡し除籍となっていた場合、当時の法律により、平成21年(2009年)に80年が経過したため、戸籍は廃棄されている可能性が高いです。

明治や大正に作られた戸籍は、現在のものとは大きく異なり、たくさんの親族の記載があります。家族構成により異なりますが、両親や子、孫、伯父叔母や姪甥などの記載があります。古い戸籍には親族の貴重な情報がたくさん記載されているため、家系図作成するためには所得したい戸籍でもあります。

戸籍は奥が深いです。戸籍の歴史について、もっと知りたい方は下記のリンクを参照ください。


まとめ

世界に類を見ない日本の戸籍制度
この独特な日本の戸籍制度の仕組みは、実質的な内容面で正確性に優れ、
その目的を果たす意味でも世界一素晴らしいものだとも言われています。

テレビ番組のファミリーヒストリーをきっかけに家系図作りに興味を持っている人も多いかもしれません。戸籍を取得して、家系図を作っていく中で自分の祖先がどのようなルーツだったのか。当時どんな所で暮らしていたのかに興味をもつ方も多くいて、特に熱心な方は実際にその土地を訪ねてみたいからと地理についての照会の電話もしばしばありました。

家系図を作るにも、かなりの労力を必要としますが、さらに一歩踏み込んで、附票の履歴まで調べると、先祖の暮らした土地を知ることができます。実際にその場所を訪れることで、その人だけに感じるものが生まれるかもしれません。

ふるさと納税の返礼品として、「戸籍附票」から分かった住所の履歴から、現在のその場所を巡り、また当時の歴史の紹介やその地域の風土を感じるようなその人だけの観光ガイドサービスを提供する。とってもスペシャルな感じがしませんか?


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