物心ついた時には君はいた。


君は隣ではなく、前にいた。


ある時は世界と私の間に立った。


私の身体の権利は、はじめから君が持っていた。


最初の記憶は病棟の廊下。


ばあちゃんの背中に負ぶわれた景色。


何色もなかったプレイルーム。


窓にはオレンジだけがあった。


2歳の私はその物悲しさと諦観を自分の胸の中にみていた。


不自由はもう知っていた。

















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?