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(乗馬の思い出)ありあまる母性本能と金髪の王子。それからひこにゃんの大ブレークについて。


かなり前のことだ。
友人たちが一通り結婚し土日の予定がなくなり、心にぽっかり穴が空いた私は乗馬を習っていた。その時の風景をチラっとこちらの記事に描写した。

下り電車に乗って田んぼや畑に囲まれた駅から乗馬クラブの送迎バスに乗って。通りから見ると木に覆われたスペースに入っていくとそこに乗馬クラブがあった。

駐車場には高級そうな車も停まっていたけれど、道具をレンタルし馬を選ばなければスポーツジムや着付け教室に通う感覚で乗馬は習うことができる。

そう。馬を選ばなければ。
レッスンで乗る馬を指名することもできる。
ランクがあって、時給が安い馬もいれば高い馬もいる。

更に、馬をお世話をしながら何人かで馬を共有しレッスンの際に乗ることもできるし、それを一人で独占することもできる(専用馬と呼ばれていた)。

馬を自分のものにした上で預ける代金を乗馬クラブに払うようだ。うろ覚えだけど預ける代金というのは馬一頭年間100万円はくだらない。

馬がお世話をされているのを見ているのは興味深かった。

ブラッシングしてマッサージしたり櫛を当てて毛をとかしたり。丁寧に体を洗ってあげたり。
たてがみを編み込んで細工している人もいた。
そのようなことをしているのは気品ある女性であることが多かった。

進級試験前にレッスンで指名料を払って乗っていた馬が、見そめられて専用馬になりお世話をされているなんていう場面にもしばしば遭遇した。

前髪と尻尾が金髪で白と茶色の馬体の馬がそうだった。私は密かにその馬を金髪王子と呼んでいた。ある日おやつの人参をあげに金髪王子の馬房を訪れたら専用馬の看板が下がっていたのだ。

馬も占有できれば先生も同じ。
レッスンも団体と個人がある。
当然庶民の私は団体レッスンしか受けたことがない。毎度、いろんな人と一緒になる。

同じくらいの年代の人、自分より若い人(子ども含む)、年配の方も多くておじいちゃんおばあちゃんもいた。

自分は寂しい独身だと豪語するおじさんとある時一緒になった。

おじさんは、馬の手入れを丁寧にする貴婦人たちを見てこれまた寂しそうに言った。

「馬の世話をする母性本能を俺の世話に使ってほしい」と。

月々の月謝に加え100万円以上のお金を払い乗馬クラブへ足繁く通い馬のお世話をする。その背景には母性がありそうなのは何となく共感できる。

貴婦人たちは、ありあまる本能を上手に消化して趣味と健康を両立している(乗馬は体力と筋力を使う)のかも知れない。それに、馬には、心の傷を癒してくれる効果があるとも聞いたことがあるから更に好ましい。馬は人間と違って、家事をしてくれなくても腹が立たないし、言葉でイライラさせられたり傷つけられることもない。

母性本能というのは面白い。

子どもが生まれて渾々と湧き上がる正体不明の愛情がある。もしこれが母性本能だというならば尽きることなく溢れてくるし、行き場を失えばこの母体がどうにかなってしまう気がしている。現に私も母性本能をこのnoteに垂れ流させていただているようなものだ。

母性本能の消化方法というテーマでもう一つ思い出した。

ひこにゃんという大人気ゆるキャラがいる。

このマーケティングをした女性をテレビで見た時(注:殿村美樹さん)、女性たちの有り余る母性本能をくすぐり成功したというようなことを語っていた。

この記憶が正しいか確かめたいと思ったらあっさり記事が見つかった。

ひこにゃんのフォルムが、女性の母性本能をくすぐる可能性があると考えました。
ゆるキャラはどこへ消えた?殿村 美樹
2018/08/12 08:58

母性本能恐るべし。
母性本能は子孫繁栄を助け、表現を豊かにして、経済を回す。
馬の人生を豊かにして、この世の中の孤独を癒していく。


その後、おじさんがどうなったかはわからない。

どうか希望が叶ってどなたかの母性に包まれていますように。

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