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《詩》夢

誰の夢かわからないまま
大事にお預かりしています
持ち主にお返ししなくてはなりませんと
たくさんの小さな夢の欠片が並べられている
手にとると
どれも懐かしく煌めいて
ひっくり返したり
光にかざしたり
いつまでも夢の時間を過ごした
ひとりでおはじきを眺めていたことや
あの子と交互に万華鏡を覗いたことを思い出した
どれがわたしの夢かは分からないけれど
どの欠片も好きだと思った
抉れた傷に
ひんやり馴染んでゆくのなら
誰の夢でもいい
そこで光ってほしいと思った
わたしの夢になってほしい
ごめんなさい、誰か
あなたの夢で綴じさせて
このままわたしも
ばりんと欠片になりたい