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《詩》二月の海

二月の海を見に行った
あなたは冬が好きだと言った
寒いのも冷たいのも好きだと言った
冬の砂浜は思ったよりも冷えていて
指先がさくりさくりと怯えたように巻き貝を見つけ出した
そっとあなたの手のひらの上で
欠けた巻き貝は内部をさらした
耳介をなぞるように
あなたの指は螺旋を降りていった
あっという間に喘息の胸に包まれて
わたしたちは海風にさらされる一本の塩柱になった
あなたが煙草を吸うたびに
そして咳をするたびに
肺がオパールのきらめきに鳴った
わたしが悲しみを吸うように
あなたは煙草を吸わずにはいられないのだ
ちゃんと死ねるように
わたしたちは吸う
どこまでもがらんどうな体に
二月の海風が吹き抜けて
わたしだけが泣いていた
あなたの肺がきしらきしらと美しく灯るので
胸に当てた耳から目へ冬の水は通っていった
わたしの頬も耳も手も冷たいままで
溶け出すことのない心もじっと灰色で
あなたがわたしを抱きしめる特別な理由はなかった
二月の海をひとりで見たい
わたしは冬にも見放される