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《詩》血

血が立つ
女の血が立っている
花でもガーネットでもなく
赤く巡り流れる血が
鐘の音のように
血そのものとして立っている
血は目となり
耳となり
痙攣する爪先となり
ドクドクと脈打つ
波となり立ち上がり
流れ落ち
広がり
赤い水平線は
焼けた夕日をとぷんと飲み込む
血は酔う
夢を見たまま
酩酊したまま
血が立っている
ゆらゆらと
確かに血が立っている
血が見つめている
時を穿つように
部屋の隅で
路傍で
橋上で
長い長い影を伴い
血は立つ
女の血が