自分の助けになる「思考の選択」
地獄の消防学校時代の話
いよいよ社会人としてのスタートを切り消防学校へ入校。
その年の消防士の卵約50名、女性は4名で、個性強めのキャラが集まってました。共に訓練や知識を学ぶため、月曜日から金曜日まで寝食を共にし、周りは山しか見えない場所での学校生活がスタート。
期間は4月〜9月の半年間。灼熱の夏の時期が入るので、限界ギリギリまで体力・気力と追い込まれる日々でした。
消防士っぽい訓練は最初の頃はほとんどなく、ひたすら走る、走る、走る。
慣れてきたら、防火服(火災現場で着る服)を着たまま走る、走る、走る。
また慣れてきたら、ホースを担いで走る、走る、走る。
半年間で、座学や実践的な訓練もありますが、ほとんど体力錬成の記憶しか残ってないです。
現場で自分自身を守れるだけの体力は絶対的に必要だったので、とにかく基礎体力をひたすらつけないといけませんでした。
まず体力向上体操(筋トレ+有酸素運動)をやって、グラウンドをひたすら走る訓練が毎回あるんですが、掛け声を出しながら隊列を組み歩調を合わせて走るので、息がもたなくなるほどしんどいんです。
1周400m近くあるグラウンドをひたすら走り続けるので、毎回
『あのコーナーについたら、もぉ歩こう』
『この直線走りきったら、隊列から離脱しよう』
掛け声を出しながらなので、息継ぎがうまくいかないと、呼吸が乱れるので、息も上がって苦しい、
苦しいがどんどん勝って、私の表情は誰がどう見ても苦しんでるなーという苦悶の表情をしてました。周りの男性消防士もやはり時間が経ってくると辛そうにしてる。
そんな中、私と同い年の1人の女性消防士の同期は、なぜか辛くなってくるタイミングで毎回笑わせてくるんです。
笑うと言っても、教官の目があるので、笑いを堪えながら、バレないように笑わせてくるんです。
呼吸が乱れると息が苦しくなるから、絶対に笑わないように見ないふりをしてたんですが
皆真剣な顔をしてる中で、彼女だけが違う空気感で、必死な自分と彼女とのギャップがおかしくて、おかしくて、ついついつられて笑ってしまった…
すると、それまで
「苦しい、苦しい、もう歩きたい、いつ終わるんだろう、、、」
と頭の中ではネガティブな感情がいっぱいで、1分1秒でも早くこの時間が終わって欲しいと体力も気力ももうギリギリのラインまで来てたのに
フッと力が抜けて、表情が緩んだ途端それまで硬直していた身体が緩んだのか、息がしやすくなったんです。
『アレッ!??なんかさっきより息がしやすくなってる』
不思議な感覚でした。
それまで、苦しい、苦しいと逃げ出したい気持ちで、息継ぎを間違えたらいけないと、必死に歩調を合わせて荒くなった息をどうにか取り戻そうとしていたのに、
息は上がってはいるものの、
「辛い、苦しい、逃げたい」
というネガティブな感情が少し和らいだだけで、息のしやすさが全然違う、、、
そこからは、体力錬成などの訓練で耐え続けないといけない時は、いつも笑わせてくれる彼女を目で追って、辛くなりそうな時に、フッと力を抜いて自分自身のネガティブな感情を切り離すようにして、半年間の苦しい地獄の消防学校生活がなんだか「楽しい」へと変わっていったのでした。
ある時、彼女に
「訓練苦しくないの?」
と質問をしたんです。そしたら、
「苦しいよ!!早く終われって思ってるよ!」
と同じ感情を持ってたんです。
でも、なぜ笑わせてくるだけの余裕があるのか?聞いてみると、
「苦しいって思うと苦しいがどんどん強くなるから、笑うと気が紛れて苦しい感情どっかいくじゃん」
と!!
へぇーーーーーーー
最初から感情をちょっと変えれば、楽になること分かってやってたんだ!
そして、彼女が
「でも、皆が真剣すぎて途中から面白くなってる自分もいる笑笑」
とまぁかなり個性の強い彼女らしい答えが私にはとっても新鮮でした。
どちらかと言うと、私は性格的に真面目な方だったので、学校の教官が言うことは絶対で、追い込まれると真正面からそこに向かって苦しいにひたすら耐えるしかないと信じていたんです。
だから、
彼女の思考は私には全く備わってない部分だったので新鮮で、真正面から向かっていかない考えもあるんだと
力を抜くことでその時間の苦しさを和らげてくれることにもなるんだと初めて気づけた瞬間でした。
厳しい教官の指導に真正面から全力で向かって行ってた自分も大事だけど、そこにネガティブ感情の波が押し寄せてきたら、思考を変えるだけで「辛い」だけだった感情が「楽しい」や「充足感」に変わることができるから
『自分の助けになる思考の選択』
って、時にはとっても大事なんじゃないかなって思います。
特に大人になればなるほど、人間関係が狭まっていくので、どんどん思考の選択って限られてくると思うんですよね。
私のように苦しい訓練とかで思考の選択をする人はあまりいないかもしれませんが、
今、ダイエットなどに取り組んでて、耐える日々を過ごしている人
また職場や学校、人間関係においても肉体的ではなくても、精神的に耐え続けないといけない環境にある人
真正面から向き合うことから少し離れて、思考を少し変えるのも良いかもしれないですね。
『苦しい、辛い』のネガティブ感情をもっとポジティブに変えられる思考の選択ができると、同じ時間でももっと自分にとってプラスに変換できる時間になるのではないでしょうか。
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