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飲食店DXは価格競争にならないビジネスとして「会員制サブスクリプションとSNSと口コミ」を使えば店舗は駅前になくても隠れ家的雰囲気があれば良い件

はじめに

筆者は生命保険会社のデジタル共創オフィサーとして、社内のデジタル戦略や執行支援をする傍ら、顧問先やパートナー企業のDX支援、自治体向けのビジネス発想支援や官公庁のDX推進委員を務めており、日本全体のDX推進や人材育成のあり方を考える活動に携わっている。

その関係で飲食店にいってもDXの話になることが多い。多くの飲食店の店長はデジタルやビジネスモデルには弱いが関心は高い。飲食店DXはもっと普及させないといけないと思う。このあたりはリクルートが強い。

リクルート社はデジタルでマッチングするモデルで勉強になる。またAirレジというサブスクリプションのサービスを飲食店向けに提供している。何とも上手なDXビジネスモデルである。飲食店DXはデジタル化も良いがビジネスモデルの工夫が面白い。今日はこの話をしたい。

銀座外れの「隠れ家的肉と日本酒の店」のDX

先日、銀座の外れの古民家の良い肉を食べさせてくれる店に連れていってもらった。そこで料理人兼店長とDXの話になった。店長は京都の老舗で修行したり、海外で料理人をしたり、マグロ漁船にも乗っていた経験のある面白い人だ。

彼から「うちのような店がDXするにはどういうやり方があるのか?」と聞かれたので筆者は店長に年間予約制サブスクリプションと口コミが良いとお伝えした。

飲食店の課題と価格競争の回避

飲食店は価格競争になったらきつい。365日のうち店を開けると店舗費や人件費、材料費がかかるのでコストには気をつける必要があるのは言うまでもない。

コストが固定的にかかる宿命の飲食店が厳しいのは、来客が読めないからである。毎日予約でいっぱいなら問題がないが、客は気まぐれでいつも予約一般とは限らないしキャンセルもある。

店に客が来なければ固定コストが回収できない。だから料金を下げて客を確保したいと思うようになるがこれはダメだ。価格競争になって利益が出なくなる。価格を下げると顧客価値も下がる。悪循環である。

飲食店が価格競争に巻き込まれないためには、独自の価値提供が必要だ。単に安くするだけでは、他店との差別化が難しく、利益率も下がってしまう。むしろ、客単価を上げるために、高品質な食材や特別なメニュー、雰囲気作りなどに力を入れ、顧客に満足してもらうことが重要だ。そうすることで、リピーターを増やし、安定した収益を確保することができる。

会員制サブスクリプションの導入

そこで客を先に掴んでおいてお金も先にもらっておく「会員制サブスクリプションとSNSと口コミ」を組み合わせる。顧客価値を高くすればSNSと口コミで広がる可能性が出てくる。先に1年分の飲食券を売るイメージだ。この場合、店舗は駅前になくても隠れ家的雰囲気があれば良い。

会員制を導入することで、店と客の関係性を強化することができる。会員限定のイベントや特典を用意し、顧客とのコミュニケーションを図ることで、ファンを増やすことができる。また、サブスクリプションを導入することで、安定した収益を確保することができる。年額で一定の金額を支払ってもらい、その範囲内で自由に来店してもらうというモデルだ。これにより、来客数の変動リスクを軽減することができる。

SNSと口コミの活用

世の中には事業をやっていて飲食代が経費になる人も多い。特にコンテンツビジネスをやっている人は人と会うために飲食店を使う。このような事業者はSNSで繋がっており、口コミですぐ広がる。「日本の飲食店をDXで強くしたい。協力して欲しい」というメッセージで予約会員は集まるだろう。こういう飲食店経営をしている人を何人も知っている。

SNSを活用することで、店の情報を広く発信することができる。美味しい料理の写真やこだわりの食材、店の雰囲気などを投稿し、フォロワーを増やすことで、潜在的な顧客を獲得することができる。また、SNSでは顧客とのコミュニケーションも重要だ。コメントやメッセージに丁寧に対応することで、ファンを増やすことができる。

口コミは重要な集客手段だ。美味しい料理と良質なサービスを提供することで、顧客に店を知り合いに紹介してもらうことができる。特に、事業者の飲食代を経費として取り込むことができれば、その事業者のSNSでの発信力を活用することができる。多くの事業者がSNSで繋がっているため、口コミですぐに広がる。

まとめ

飲食店がDXを行う上で、価格競争を避け、安定した収益を確保するためには、会員制サブスクリプションを導入し、SNSと口コミを活用することが効果的だ。店舗の立地は駅前でなくても、隠れ家的な雰囲気があれば問題ない。事業者の飲食代を経費として取り込み、SNSで繋がっている人たちの口コミを活用することで、予約会員を集めることができる。

飲食店は、単に価格を安くするのではなく、独自の価値提供に力を入れるべきだ。高品質な食材や特別なメニュー、雰囲気作りなどに力を入れ、顧客満足度を高めることが重要だ。会員制サブスクリプションを導入することで、顧客との関係性を強化し、安定した収益を確保することができる。

もちろんこのモデルだけで全ての客を確保できるわけではないだろうが、通常の店舗運営に加えやってみる価値はあると思う。好調なら専用の店にしても良い。このようなDXの取り組みにより、日本の飲食店を強くすることが可能になるだろう。

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