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書くことが怖い
博士になって文章が書けなくなった。
書けても、なんというか自分の文章じゃない感じ。
もちろん、論文はエッセイではないから自分の文章なんて必要ないのだけど、それにしても酷かった。
不特定多数の批判の目に晒されることを思うと、途端に自分の意見が萎れてくる。
先行研究を読めば読むほど、この人たちの言葉に追いつかなくてはいけない、今のままではいけない、もっと論文らしくしなきゃ。
そんな思いに襲われてくる。
最初は振り払って投稿や発表をしていったけど、これが妄想ではなくなって、本当にこれではダメだと評価され続けると、とうとうペシャンコになった。
これまた振り返ると、それもそのはず。
わたしの論文は、もう自分の主張が弱々しくて何を受け取ればいいのか分からないものになっていた。
これでは論文として成り立たない。
自信が完全になくなっていた。
自信がなくなるとどうなるか、自分が見るもの全てが信じられなくなる。目の前にいる相手が信じられなくなる。それは信頼関係に大きな歪みを生む。
そして、わたしは閉じた。
誰も傷つかず、誰にも傷つけられない。
その代わり、自分の言葉で人と繋がることは叶わない。
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