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昨年の中3実力テストの結果とそれ以降の地域の指導方針について

昨年の秋に塾ブログでアップした内容を一部加筆修正してnoteでもアップしておく。愛知県の北尾張地域で丹葉地区&愛日地区呼ばれる自治体の一部では(小牧市、江南市、北名古屋市、岩倉市、豊山町、扶桑町、大口町、春日井市?清須市?)、地域内の中学3年生に9月の新学期時に同一の実力テストを実施しています。

昨年は多くの方の協力もあり19校のデータが集まりました。それらをまとめたのが以下になります。

2023年9月実施 中3実力テスト 平均点

この結果を見た時に私が驚いたのは3点でした。
1.学校間格差が非常に大きいこと
2.自治体によって点数の傾向が似通っていること
3.特に主要教科とされている英語と数学の差が顕著に大きいこと

ちなみにこれら19校は非常に近い地域にある学校です。端と端の学校でも直線距離は11.6㎞しかありません(大口中と白木中)。例えば平均点で3位の熊野中と16位の北里中は隣接する校区で2㎞しか離れていません。したがって所在地よりも自治体によっての影響が非常に大きな結果となっています。

さてそれから1年、この地域の中学で推し進められた授業は従来の「小牧市」の手法に近づいています。大まかに表すと宿題を減らし、対話型・探求型の授業を増やし、確認テストや単語テストのようなものを減らしています。特に布袋中ではその取り組みで先を走っておりメディアでも広く喧伝されています。上記の表を見ると嘘のような話ですが相当早いスピードで前述のような手法の変化が見られます。

また個人的に面白いデータが集まったので紹介します。よくXで話題になるものに算数指導の「かけ順」と「みはじ、はじき」があります。そこで「小学校で学校教員から聞いたことがあるか、もしくは指導されたことがあるか?」についてアンケートを取りました。アンケートは現小6~高1の生徒本人もしくは保護者様です。

算数の文章題でかけ順を守る指導をされた経験がある児童生徒
北名古屋市…13人/28人
江南市…9人/27人
岩倉市…8人/31人
小牧市…4人/26人

学校教員から「みはじ・はじき」を聞いたことがある児童生徒
北名古屋市…19人/28人
江南市…10人/26人
岩倉市…6人/31人
小牧市…9人/26人

このリサーチは1年くらい行っていました。途中からXでよく言われているような傾向とは逆の結果が見られるようになったので、急速にこれらの議論がどうでもよくなりました。一応、私の立ち位置から確認すると、かけ順もみはじやはじきも使わないで指導する方が好ましい。しかし仮に指導してもそれほど予後は悪くない。よほど宿題を減らしたり探求型の授業を増やしたりする方が学力低下に大きな影響を与える。という結論に至りました。

そして先日こんなニュースが報道されました。

小牧市は2025年度から、小中学校での探究的な学びを充実させるため、主要教科の授業時数を削減し「総合的な学習の時間」に上乗せする検討を進めている。文部科学省の「授業時数特例校制度」を活用する方針で、指定を受ければ愛知県内初。開会中の市議会定例会で10日、河内光議員(牧政会)の一般質問に対し、明らかにした。

 授業時数特例校制度は21年に創設され、指定を受けると、学習指導要領が定める教科ごとの標準授業時間数を最大1割減らし、別の教科に上乗せできる。4月現在、全国で104校が指定されている。

2024.09.10 中日新聞

簡単に言えば現在よりも英国数理社の授業を10%削減して、学び合いや話し合い中心の探究型の授業をその代わりに行うということです。早速来年度の春から変わるようなので注視していきます。コロナ禍以降の教育行政は本当に結果が出ていない手法をどんどん推し進め、反対に出ている所の指導を「前時代的な手法だ!」と断じて無くしていってしまうんですよね。

またこちらのテストの結果が今月末くらいから明らかになりそうです。噂によると一部の中学では平均点の掲載を取りやめる話も聞いています。これも「臭いものに蓋」でしか無いのですが、教委は「働き方改革」の旗印の元、どんどん学力軽視の方向に舵を切っていくのでしょう。また結果が分かりましたらこちらでも報告していきます。

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