きのこの山のおじいさん

つくえに置いてあるどら焼きに
それを食べたがるおじいさんとおばあさんたちが群がりました。

でもそれは私のどら焼きだったので
おじいさんとおばあさんたちを追い払い
お茶をいれて食べ始める準備をします

お茶をいれている間に追い払ったはずのおじいさんとおばあさんたちがまたどら焼きに群がっています。

群がるだけで勝手に食べたりはしないからまぁいいやとほっておきました。

そして私はあつあつのお茶とどら焼きをおじいさんとおばあさんたちに囲まれながら食べ始めます。

ものほしそうな人たちを見ながらたべるどら焼きはこんなに美味しいものなんだとはじめて知りました。

どら焼きの新しい美味しい食べ方を教えてくれたお礼に、
半分残していたどら焼きを細かくして
そこらへんにまいておきました。

するとおじいさんとおばあさんたちは落ちたどら焼きにものすごい勢いで向かっていきました。

面白いことにあんこが沢山ついているところをすぐに見分けているみたいです。

あんこの沢山ついたどらやきのかけらは取り合いになっていました。

なんだかんだつよそうなほうのおじいさんや
こわそうなおばあさんがそれを食べることができたのを見て
せちがらい世の中だな〜と思います。

ほんの少しの間で撒いたどらやきはすぐになくなりました。

半分のどら焼きだけじゃほとんどのおじいさんとおばあさんたちは食べることができなかったみたいです。

なにも落ちていない床をうろちょろしていて少しかわいそうになりました。

それからどら焼きをたべることができたおじいさんとおばあさんたちはまるで自分が貰えたと勘違いしたのか私によって来ます。

こんなことになるならもっとどら焼き買っておけばよかった
どらやきはないけど前にお土産でもらったまんじゅうが残っていたことをを思い出しました。

私はまんじゅうが好きではないので1つも食べず処分に困っていたので、今度は贅沢にそのまま撒きました。

饅頭は全部で16個、散らばってまた取り合いになります。まんじゅうにありつけたずうずうしいおじいさんとおばあさんたちは満足したのか帰っていきました。

ありがとうくらい言わないか。

また積極性に欠けるおじいさんとおばあさんたちはまんじゅうもとることができず
またなにもない床をうろちょろと

私はまた可哀想になりました。

あーもう家にはお菓子ないよと思っていたけど、私のとっておきのきのこの山があるのを思い出しました。

でもこれはどら焼きよりも私が大好きな食べ物です。
そして私はきのこの山を食べないと死んでしまいます。

でも私が死んでしまうことよりも
目の前にいる、
なにも得られずなにもない床をうろちょろするおじいさんとおばあさんたちが満足しているところ見たいと思ったのです。

私はとりあえず遺書を書いて、生命保険に入ってついでに宝くじを買って

きのこの山を全部撒きました

わーっとあたりに広がり落ちたきのこの山におじいさんとおばあさんたちは勢いよく向かっていきます。

しかしなんということでしょうおじいさんとおばあさんたちはチョコレートを食べれないみたいです。

私の大切なきのこの山のクラッカーの部分をつまんで遠くに投げてしまいます。

私は腹が立ってそして悲しくなりわーっと叫びました。

そしたらおじいさんとおばあさんたちもわーっといなくなりました。

私はきのこの山の落ちた部屋に1人ぽつりと取り残されました。

私は落ちたものを食べれないのでこのまま死んでしまうのかと思い泣いていました。

泣きつかれ、横になって意識が薄くなっていくのがわかりました。

しかし私は死んでいませんでした。
私はきのこの山を食べなくても死なないのだとはじめて知りました。

昔すれ違いざまに、きのこの山を食べないと君は死んでしまうよと言ったおっさんは嘘をついていたみたいです。

目が覚めて意識がはっきりとしてきてあたりを見渡すとたくさんのきのこの山が置いてありました。

そこには手紙がありました。
〜昨日どらやきのかけらとまんじゅうをもらったものです。家に帰ってまんじゅうを食べたあと娘にそれを伝えると、ありがとうと言いなさいと叱られたのであなたの元へもどりました。するとそこには散らばったきのこの山と寝ているあなたと遺書があり私はそれを勝手に読んだのです。 私はきのこの山をつくっているおじいさんなので感動してしまいました。最近泣くこともなくなっていた私に涙を取り戻してくれたあなたにこのきのこの山を送ります。どうぞお元気で。〜

私もまたその手紙と山のようなきのこの山を見て自然と涙がこぼれ落ちました。

そして私はたくさんのきのこの山を子どもたちに配るおじいさんになって幸せに暮らしました。

おしまい。


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