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#54 その気にさえなれば必ず何かを見出せる 〜宙わたる教室〜

先日、私の世代、私の夢を重ね合わせ、

『オオルリ流星群』

という本を読みました。


その作者、伊予原 新さんの作品を見ていると

ふと、一つの作品に目が止まります。

『宙わたる教室』

第70回青少年読書感想文全国コンクール課題図書

東京・新宿にある都立高校の定時制。
そこにはさまざまな事情を抱えた生徒たちが通っていた。

負のスパイラルから抜け出せない21歳の岳人。

子ども時代に学校に通えなかったアンジェラ。

起立性調節障害で不登校になり、定時制に進学した佳純。

中学を出てすぐ東京で集団就職した70代の長嶺。

「もう一度学校に通いたい」という思いのもとに集った生徒たちは、
理科教師の藤竹を顧問として科学部を結成し、
学会で発表することを目標に、
「火星のクレーター」を再現する実験を始める――。

『月まで三キロ』『八月の銀の雪』著者がおくる、今年一番熱い青春科学小説!

Amazon 本の概要より


いざ読み始めてみると

心揺さぶられ

引き込まれていきます。

(ネタバレもありますので、ご注意ください🙇‍♂️)

自動的には分からない。

授業をただ聞いて入れば分かるとか、
教科書をただ読んでいれば分かるとかいうものではない

手を動かす。
何度も何度も書く。
式をいじくり回す。
いろんな図をしつこく描いてみる。

そうしているうちに
分かったという瞬間が来ます。

必ず。

方法はそれしかないんです。

本当に解りたいのなら。

『宙わたる教室』より

学校の勉強だけではなく

仕事や自己啓発もそうですよね

自動的には分からない。

文章を読むのが嫌いなんだよ、昔っから。

真面目に教科書なんか読もうとした日にゃ、
気が狂いそうになる。

吐き気がしてくる。
何も頭に入ってこねえ。

不良品なんだよ

『宙わたる教室』より

ボサボサ金髪、両耳で10個ピアスをつけている柳田岳人の言葉です。

文章を読むのが困難な彼は、

実は、“ディスレクシア”という 

読み書きに困難がある学習障害ということが

定時制高校 藤竹先生によって明らかになります。

つまり、知能には問題無い。


自分の人生は何だったのか。


その事実を知って

うなだれ、拳を握り締め、嗚咽します。



以前、noteに書いたことがありますが、

ここまでではないにしろ

私は文章を読むことが苦手で

一度読んだだけでは なかなか理解できず

2、3度読んで ようやく理解できます。

そのせいもあって、

子供の頃は 本を読むのが嫌いでした。

なぜ自分はこんなに理解が遅いのだろうと

悩んでいました。



そんな学習障害があると知っていれば

もっと楽に生きられたのかもしれません。



この『宙わたる教室』では

いろんな科学の実験が行われます。


積乱雲

地震

火山の噴火

そして、火星の青い夕焼け


レイリー散乱やミー散乱など、

専門的な用語も出てきて勉強になりました😆。


火星の話の中で

NASAの火星探査車 オポチュニティの轍(わだち)

の写真に関する話が出てきます。

火星探査機オポチュニティが
振り返って撮った写真
NASA


オポチュニティ

2003年7月に打ち上げられ、

2004年1月に火星に到着

設計段階で想定されていた運用期間は3ヶ月

気づけば14年

想定の50倍を超える期間、旅を続けた。

2018年 大規模な砂嵐襲われて太陽電池がダウン

2019年2月 ミッション終了が宣言された。

この写真は、実際はNASAのオペレーターが撮らせたものだろう。

けれど佳純には、
オポチュニティがふと長い首を回して振り返り
自らの意思でシャッターを切ったようにしか
思えなかった。

自分の後ろに延々とのびる2本の轍を見て。

それはこの子が、
異星の原野をたった1人で何年も旅してきた証

生命を感じさせるものが何一つない絶対的な
孤独の中を、懸命に生き延びてきた足跡。

『宙わたる教室』より

佳純は この写真をスマホの待ち受け画面にして

スマホを手に取るたびに眺めます。

この写真かどうかは分かりませんが、
私の待ち受けもオポチュニティの轍にしました😆


この画面を見ると背筋が伸びます。


過去の自分を辿った先にしか 今の自分はない。

つまり、
今の自分は、過去の自分の積み重ねでしかない。


辛くて逃げた過去

勇気を出して一歩踏み出した過去

歯を食いしばって耐え抜いた過去


そんな過去を積み重ねた先に今の自分がある。

それは唯一無二の自分の人生であり、

自分でしか責任の取りようのない人生。


だとすると、

過去の自分を裏切らないように

未来の自分に希望の火を灯すように

今を誠実に生きたいと思います。

「先生は、何かあきらめたことある?」

「そりやありますよ。
 人生において何かを選ぶということは、
 選ばなかったほうを
 あきらめるということですから。
 ただしそれは、その時点での話です。
 そのとき選ばなかったものを、
 あとで選ぶことはできる。
 命ある限りは」

「頑張ったことをあきらめるのは、つらい。
 ガキの頃それを嫌ってほど味わって、
 そのうち何も頑張らなくなった。
 簡単にあきらめられるのは、
 マジじゃねえからだ。
 マジで真剣に頑張って、
 それをあきらめるのは、
 やっぱ・・・・・つれえよ」

『宙わたる教室』より


私には夢があります。

しかし、心のどこかで

「本当にできるの?」

という声も聞こえてきます。



正直にいうと、自信も根拠もない。

でも、諦めきれない。


途中、止まっても、

一歩ずつでも前に進む意思は忘れずにいたいと思います。

どんな人間も、その気にさえなれば、

必ず何かを見出せる。


「その気になる」という現象は、

何らかの機序でまわりに伝播するのかもしれない


人間は、その気にさせられてこそ、

遠くまで行ける

『宙わたる教室』より


「その気になる」

とは、どういう状態のことか考えてみました。


“自分を無条件に信じる”状態と

私は結論付けました。


いろいろと不安や心配事もあるけれど、
自分を無条件に信じてみようかな。

人生こそ、自動的には分からない

自分の将来を、
一本道のように見通せる人はいません。

誰しも、いるのはいつも窓のない部屋で、
目の前には扉がいくつもある。

とにかくそれを一つ選んで開けてみると、
またそこは小さな部屋で、
扉が並んでいる。

人生はその連続でしかない

『宙わたる教室』より


自動的には分からない

だからこそ、

何度も、しつこく、行動する価値がある




とても勇気をもらえる1冊となりました。

これからも「その気になって」頑張ろうと思います😆。



なお、この『宙わたる教室』、

NHKのドラマ10で ドラマ化されます
🎊㊗️👏

10月8日(火) 夜10時スタート!


このドラマが始まる前に 読み終えたい!という思いで頑張って読みました😆。

ストーリーも楽しみだけど、

科学の実験も楽しみ😁!


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