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【連作詩】彷徨

〈連作詩一〉 ざわざわの形1

仮の姿に
嘘の言葉に

真実はひとかけらもないとしたら

形ある姿は
届けられる言葉は

真実だけでできているとしたら

この世界は
きっと
窒息してしまう

ひとかけらの真実も
いびつな真実も

嘘をまとわせた真実も
嘘を呑みこんだ真実も

この世界には
全てがあって
全てがそのままではなくて

真実は
陽炎のように
立ちのぼり掻き消える

ようやく
辿り着いて
息を継いだこの世界で

真実を掴みたいと
願ったら
最後

帰る家を失くしたように
彷徨さまよい続けるしかない




作者から

〈連作詩一〉 ざわざわの形
1 彷徨
2 痛みの形
3 解の儀式─ほどく、とく─
4 教えてください
5 灯火
6 ざわざわの形

気持ちがざわざわすると、
言葉に出したくなる。

言葉にしながら、
気持ちの中を
身体の奥深くを
探り、見つめ、

そうして形にしたものを
自分の中から取り出して、
触れることができる形になることで、
ようやく安心する。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ざわざわが生み出した言葉の欠片かけらたちを、noteの下書きのあちこちに散らしていました。
ざわざわした気持ちをあっちにこっちに落としているうちに、5つの詩の断片ができてきて。
その詩の間を行ったり来たりしながら、ざわざわした気持ちにしっくり寄り添う言葉を探して、詩が辿りたい道、辿り着きたい場所を探って、ようやく、5つの詩がほぼ同時に形になりました。
何だか、五つ子を産み落とした気持ち。

同時期のざわざわする気持ちがいろんな顔になったので、ひとつのタイトルで繋げるのには無理があるんだけど、同じ時間のなかで生み出した、この5つの詩をひとつのシリーズとして、金曜日の夜、ひとつずつ出していこうと思います。

名付けて、「〈連作詩一〉 ざわざわの形」

「ざわざわの形」って…、なんやねん、それ、と自分で吹き出してしまうネーミング(笑)
それに、いつも、ざわざわしているし、今までもざわざわしている詩はいっぱい出してきたのに。何で?今さら「連作詩」なのか。
とりあえず、今回は、同時に形になった5つの詩をばらばらなものにできなかった作者の優柔不断のせい、です

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

2番目の詩「痛みの形」でのコメントを読む中で、この詩で向き合えていないものがあると感じ、テーマと同じタイトルの詩を「〈連作詩一〉 ざわざわの形6」として追加しました。

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