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【詩】地のふるえ 風のいのり

地がふるえる 
波がおこる

空気がねつをもち
陽があかくふくらむ

つながっていくと思っていた時間を
つながっている糸を
つながっているはずの言葉を

なんて
たやすく
奪ってしまうのだ

せめて
どうぞ 風だけは 
やわらかく
あたたかな布のように
包んで欲しい

奪うだけでないと
教えてほしい

断たれた
時間を
糸を
言葉を

結びなおすものを
そっと
届けてほしい

地がふるえるときは
風よ
あなたのいのりが
必要なのだ


(作者から) 
災害のとき
大きな絶望のとき
言葉が失われてしまう

どんな言葉も宙に浮いて 
着地点を見失う

どんな言葉も 
受け入れられない

でも
それでいい

今が
いっぱい
いっぱい 
だから

ただ 
この寒空
その身だけでも
あたたかく
あってほしい






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