見出し画像

夏の倦怠〜 詩のようなもの 散文




俄か雨
揺らぐ陽炎



濡らされた羽を
軋ませてる白い蝶



じっとしてるのは
退屈が好きなだけ


甘い蜜ならば
それは
どこにもないのでしょう




ちぎれた舌の上で
蜜蜂が乱舞する



じっとしてるのは
退屈が好きなだけ




゜。☆★°゜




夕暮れの町は
それでも
まだ蒸し暑くてじっとりとした
生温い風を孕んだ空気が肌に
絡みつく



赤い赤い
のうぜんかつらの花と
その零れ落ちた花ビラが
アスファルトの上で脈打つように動めいている



夏の倦怠も嫌いじゃない


薄鼠色の空を背景に
赤いその花姿を切り取れば


切り絵の世界となり
一瞬でセカイは変貌していく



退屈とは憧憬なのか


この世界の儚さ美しさに
僕は
瞼を閉じながら
呼吸を逃す…



・:*:・


曖昧さは
いつでも微熱を帯びた
メタモルフォーゼ





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?