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人生最大の危機に陥った話4

「うつ病」

心の病気といわれるが
実際は多大なストレスにより
脳機能がバグって症状が出ると聞いた

一度壊れた脳機能は
すっかり元通りにはならないらしい
寛解まで長くかかりそうだった

起き上がれず食べられず眠れず
呼吸すらまともにできないこの状況

シシャモの様だったふくらはぎは
すっかり筋肉が落ちて老人の足の様だった
フラフラしてますます歩けなくなっていく

この時、身長162㎝ 体重42㎏
尋常ではなかった

一人暮らしで生活に支障をきたしている
そんな私の状況を見た医者から
筋力と体力回復のリハビリの為に
入院するという手もあると言われた

毎日一人、部屋で呼吸困難と
闘っている心細さも手伝って
医者の助言に従うことにした

これまで出産以外は
入院とは縁のない人生だった

それがいきなり総合病院とはいえ
精神科入院である
しかも開放病棟に空きがないため
とりあえず閉鎖病棟への入院になるという

まぁなかなか足を踏み入れる事も
ない場所だからぶっちゃけ興味もあり
閉鎖病棟への入院を了承した

閉鎖病棟は思った以上に不自由だった
まず入院時に持ち物検査があり
鞄の中身を全て出して看護師が確認

危険とみなされるものは全て没収される
(付き添いの家族に持ち帰ってもらう)

ハサミやナイフ等は言うに及ばず
爪切りも刃物の類なので持ち込み禁止
紐状のものもアウト(事故防止の為)
巾着のヒモも抜かなければならないし
充電器のコードも✕なのでスマホは使用禁止

病棟の出入り口は脱走防止のため
厳重にロックされた二重扉になっていた

見舞いに来た家族も入口のインターホンで
看護師に入院患者との関係を告げてから
持ち物をチェックされ刃物や紐状のものは
入口のロッカーに預けなければ
病棟に入ることが出来なかった

入院患者がリハビリ室や売店に行く時には
看護師に声をかけて病棟の扉を開けてもらう
1時間以内に戻ることが決められていて
外出管理表に名前と時間を記入する事になっていた
戻ってきたら病棟のインターホンを押して
また扉を開けてもらう

私は筋力回復のための入院だったので
リハビリ以外にも病棟から出て
無理のない程度に病院敷地内を
歩くよう言われていたのだが
忙しそうな看護師さんに一日何回も
扉を開けてもらうのが心苦しかった

それを医者に伝えると
「看護師は仕事だし、貴方は自分の足で
歩けるようになる事を目的に入院して
いるのだから気にしなくて良い」と言われた
至極真っ当な答えである

ただし一つ注意点があった

その病院では院内で人が倒れた場合
それが何科でも外来でも入院患者でも
“コードブルー”放送がかかるという

緊急対応の医師と看護師が
現場に駆けつけることになっているから
もし病棟から出ている時に過呼吸で
動けなくなったらすぐに近くの看護師に
声をかけて病棟に連絡を入れてほしいとの事
そうしたら病棟看護師が迎えに行くからと

こちらとしても過呼吸でのコードブルーは
流石に罪悪感がある
しかしリハビリ室への移動の数分間にも
容赦なく過呼吸は襲ってきた
本当に厄介だった

▶人生最大の危機に陥った話5 に続く


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