見出し画像

ヒーローを倒せ(SFショートショート)

 あらすじ
 地球侵略を企む宇宙人ヒャイ星人がいた。が、かれらの陰謀を阻む正義の味方ヒーローマンが地球を守っていた。
 ヒャイ星人はヒーローマンの裏をかくためある作戦を練り上げるのだが……。
 


 

 ヒャイ星人は、地球侵略を企んでいたが、それには地球を守るためヒーロー星からやってきたヒーローマンが邪魔だ。
 ヒュインは、ヒャイ星の日本方面軍司令官で、ヒャイ星の政府から日本征服を命じられている。

 狙いは日本の都市鉱山と、日本の領海の海底に眠る資源であるメタンハイドレートだ。
 地球人の原始的な技術では、まだこれを採掘するのも無理だったが、ヒャイ星人にの高度に進んだテクノロジーをもってすれば活用できた。

 ヒャイ星は他にもアメリカ方面軍、中国方面軍、ロシア方面軍、西ヨーロッパ方面軍、インド方面軍、アフリカ方面軍等を地球各地に派兵しているが、各方面軍同士の縄張り争いのため連携が取れているとは言いかねた。

 地球もかつては同じ地球人同士で血みどろの戦争をしていたが、ヒャイ星人の侵略に対し結束したため戦乱は全て中止になり、各国が結束して地球防衛軍を設立したのだ。

 この地球防衛軍と、各地域の人口や広さに合わせてヒーローマン部隊が配置され、ヒャイ星人の野望を阻んでいた。日本は小さい島国というのもあり、ヒーローマンは1名のみ滞在している。

 ちなみにインドや中国やロシアやカナダやアメリカやブラジルやオーストラリアには20人ずつ配置されていた。

 そこでヒュインは思いつく。それは最初に沖縄の米軍基地を襲撃し、沖縄を助けるため現れたヒーローマンをその地で足止めするうちにヒャイ軍の別働隊が東京を制圧し、日本を屈服させるという作戦だ。

 早速そのオペレーションが決行され、円盤型の宇宙艦隊が沖縄の米軍基地を攻撃した。 米軍、自衛隊、地球防衛軍の軍用機が緊急発進して飛んでくるが、ヒャイ星宇宙艦隊の攻撃で次々に撃墜される。

 やがてヒーローマンが突然大地に現れた。その身長は地球の単位で50メートルもある。ヒーローマンが両手でバッテンを作った。地球の英文字で「X」だ。するとここから光線が発射され、ヒャイ軍の宇宙艦が1隻撃墜される。

 これはヒーローマンお得意のスペシャル・ビームだった。ヒュインは宇宙艦隊の生き残った1隻に命令すると、その艦の下部から地面に特殊な光線が放たれた。光を浴びた地上には、巨大な怪獣が登場する。雷鳴のような咆哮が轟いた。

 身長は地球の単位で70メートルもある。ヒーローマンより20メートルも高かった。ヒャイ星人の高度なテクノロジーで作られた怪獣だ。ヒーローマンはこの怪獣との取っ組み合いを開始した。これでヒーローマンを、足止めできる。

しめしめと感じながら、ヒュインは自分の乗る宇宙艦のみ東京にワープさせた。それに続き、沖縄を侵略してるのとは別の艦隊が地球の軌道上から都内にワープアウトし、ヒュインの艦と一緒に首都を攻撃する。

 地球防衛軍と自衛隊と横田基地から飛び立った米軍の戦闘機が発進し迎撃したが、宇宙艦隊の猛攻の前にひとたまりもなく、次々撃墜されてゆく。が、その時、それまで何もなかった場所に突然巨大化したヒーローマンが現れたのだ。

「なんで、ヒーローマンが現れたんだ!?」

 ヒュインは思わず叫んだ。ありえない展開だった。まだ沖縄ではヒーローマンが怪獣と戦っているのが、艦内のホロ・モニターに映っている。ヒュインの困惑を見透かしたようにヒーローマンが、テレパシーを飛ばしてきた。

(残念だったなヒャイ星人。以前はワンオペで戦ってたが、働き方改革のおかげで今は2人のヒーローマンが日本では日勤と夜勤の2交代制で配属されてるんだ)

 それだけ伝えるとヒーローマンはスペシャル・ビームを発射した。ヒャイ軍の宇宙艦隊は次々と爆発し、ヒュインも巻き込まれて死んだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?