【詩】金魚すくい
夜風に吹かれて香る 祭囃子
寂れた境内 今宵は百花繚乱
猫も杓子も妖も うねり歩く夏の日
ほら、猫のしっぽも二又さ
ネオンのように妖しく灯る提灯の
照らす石畳を歩く少女
あたりをきょろきょろしていれば
お面を被った金魚屋さん
猫の手のように招いている
水槽を舞うように泳ぐ金魚たち
彗星のように赤くキラキラ
気づけば ため息が零れる
少女の眼はキラキラ
裾を命一杯引き上げて
小銭を渡して、店主から武器を拝借
キラキラ泳ぐ金魚
キラキラ見つめる少女
祭囃子も聞こえない
明鏡止水 静まるこころ
よく狙って
よく狙って
ここだっ
祭囃子が聞こえてくる
赤い花火が水面から飛び上がって
ぽちゃん
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