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カブトムシが死んだ

去年からカブトムシの幼虫を5匹育てていた息子6歳。
今年の6月に5匹のうち、4匹が成虫になった。
見事に、オス2匹、メス2匹産まれた。
1匹は不運なことに蛹にまでなったが、成虫にはならずに死んでいた。

年々、地球温暖化の影響なのか6月にはカブトムシが生まれるらしい。
去年、カブトムシやクワガタがたくさんいるキャンプ場に行った時に、
8月では、もう遅いですよ〜。今は6月に取りに来ないと・・・
と教えてもらった。

自慢じゃないけど、私は女姉妹で、虫とは無縁で生きてきた。
幼虫も成虫も決して触りたくないし、飼いたいとも思わない。
それでも、息子の希望で、幼虫から飼うことになり、
それが成虫となり、毎日ゼリーの交換、そして、乾燥しないように
霧吹きをかけることが我が家の日課になっていた。

1匹のオスなんて、小さい入れ物に幼虫から飼っていたものだから、
成虫になったときに、飛んでカゴから出ていたらしく、
玄関にひっくり返って落ちていて、
寝起きで何も知らない私は、トイレから出た暗闇の玄関で
成虫になりたてのオスのカブトムシを踏んでしまった・・・。

喉が枯れるくらい叫んだ。
夫には「死体でも見つけたんかと思った」

と言われたけど、それやったら、蘇生するやん。
と突っ込んだ。素足でカブトムシを大の大人が踏んだのに
さすが、「兜」と言うだけあって、堅くて死なずに2ヶ月間
この世界で生きてくれた
。ありがたい。

息子は、成虫になったら普通にカブトムシを持てた。
ツヤツヤしているカブトムシを見るのは嫌いじゃないし、
しっかりと卵を産み、また幼虫がいるのを見ると生命って凄いなぁ〜と
感心したりもしていた。
土が良いと幼虫も大きくなるし、しっかり育つ。
つまり、子宮という土台がしっかりしていると
人間の赤ちゃんも同じなのではないか・・・など助産師らしい?ことも考えたり
しながら観察していた。

でも、一昨日3匹死んだ。
静岡では珍しく三十八度越えの1日で、暑すぎたのと、2ヶ月生きたので
寿命だったんだと思う。

子どもは、案外、あっさりしていた。
「死んだね。」と見向きもしない。
飼いたいと言ったのは彼なのに。

「埋めてあげてよ!!」というと、一緒に山に埋めに行くと言った。
だけど、死んだカブトムシには触ろうとしなかった。
生きている間は触れるのに??
私のイライラが募る。

私は生きていても死んでいても触りたくない。
虫は好きじゃない。

手袋をして、息子が死んだカブトムシを入れ物に入れて、山に埋めに行った。
その時もかなり、躊躇しながら、触れないようにしている。
なんなんだろう。死んだ途端、触らないって・・・。

聞いてみた。「怖いんだ」と言っていた。
生きている時は怖くないけど、死んだ途端、怖くなるらしい。
じゃぁ、お母さんがお棺の中で手を握っていても怖いんやろうか。
触れてくれないん?と聞いてみる。

息子は死んだ人間をまだ見たことがないから、
想像すらつかない質問だった・・・。
私は意地悪だ。そして、
死んだら、悲しまないといけない・・・という価値観を押し付けようとしている。
触れて欲しいと思っている。私の気持ちを押し付けていた。

映画、『ぐるりのこと』を見たときに、
リリーフランキーさんが(役名忘れた)自分の子どもを失った時、泣かなかった。
「泣いたらええ人なんか?そんなんあてにならんやろ?」

というセリフがあるんだけど、本当にその通りで、別に悲しみを外に出すか出さないか。そして、死んだからといって、悲しまなければならない・・・というのは
私の価値観の押し付けに過ぎず、息子は息子なりに「ごめんね」
と言っていた。

多分、ゼリーを入れ忘れたことを反省したんだろう。
蚊に五箇所以上、刺されながらも土を掘り、お墓を作り
手を合わせた本日。

一度も空を飛べなかったカブトムシ

息子には羽ばたいて欲しい・・・と思うけど、それも私の押し付けだ。
彼の人生は彼のもので、ただ、私は彼と仲良くすれば良い。
そんなことを考えたり、思い出したりした一日。

色々学ばせてくれたカブトムシ達に感謝。
うちに生まれてきてくれてありがとう。

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