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頼りにした酒の話(2024.1/19の日記)

 布団から出たくない金曜日。ギリギリまで粘って、でも雨が降っていたら困るので早く部屋を出た。傘を持って歩いて学校に行ったけど、傘は使わなかったし時間がかかっただけだった。授業を受けてお弁当を買って帰る。

 一冊電子で読んでいた小説を読み終わった。ざっくり言葉を選ばないで言うと、アル中の話。主人公がひたすら飲んで病院に運ばれ、入院生活と自分の過去を振り返るパートが一緒に進んでいく形だ。めちゃめちゃに飲んでいる。

 この小説が面白いのは、アルコール中毒の症状や検査、処方薬や肝臓の病気などに主人公が詳しく、お酒を飲み続けたらどうなるのか本人がよく分かっているというところだと思う。それでもなお飲む。調子が悪くなっても飲む。主人公がお酒を飲むのは、他に頼るものが無いから、といった感じだった。妙に冷静に自分の状態を分析しているのがちょっと不気味だ。読み初めは分かってるんなら飲むの辞めなよ…と思った。

 不安を解消する「道具」としてお酒があるのだと主人公は言っている。飲んで得られる「報酬」を上回る、ほかの方法が無ければ、お酒を辞められないのだと言う。読んでいくとちょっと分かる気がする。
 お酒ではなくても、依存症というのはこういうことなのだと分かる話だった。本人がやりたいと思って依存しているのではなく、好きでやっているわけでもない。無いとやってられない。お酒を飲まないとやってられない人とそうでない人がいるのは、不安なとき、一発やる気を出したいときに、何に頼るかの違いなのだ。自分に最初理解ができなかったのは、私に飲酒という選択肢がなかったからだ。

 先日アルバイト先の社員さんが一人退職した。「自分には仕事が合っていなかった」と言っていた。辞めることが決まった頃、これは後から聞いた話だが、毎晩お酒を飲んでときには二日酔いで仕事をしていたらしい。ストレスがすごかったと、自分はお酒に頼る弱い人間だったんだと言っていた。私は、お酒に頼らないでもやっていける生活に早く戻りますようにとだけ言った。心身の健康を願っていると伝えた。正しい言葉だったかは分からないが、私はこの人のことを弱い人間だと思わない。今はもっと思わない。

 この社員さんと働き始めてちょっとした頃、私に「せっかくこうして出会えたから、(私)さんの幸せを願っていますよ」と言ってくれた。私もこの社員さんの幸せと心身の健康を願い続けたいと思う。

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