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現実と創作の境の話(2024.1/28の日記)

 アルバイトの日。グラスを洗うのが間に合わないくらいお客さんの流れが止まらなかった。ベテランのパートさんと二人きりの時間帯で、この人がいなかったらパニックになっていただろうなと思った。後からパートさんが「ちゃんと回せてよく頑張ったね」と言ってくれた。かなり嬉しかった。

 パートさんが「今日はよく眠れるわ」と言って、社員さんは「今日はお酒がおいしいだろうな」と言った。私はその両方をした。帰りがけにスーパーに寄り、ジュースみたいなお酒を一つとお菓子と食材を買った。洗濯機を回しながら料理をして、お菓子を食べながらお酒を飲んだ。一気に飲んだせいですぐに眠くなり、2時間近く寝た。そのまま朝まで寝たらまずいので目覚ましをかけて寝た。賢い。

 本を一冊読み終わった。好きな小説家がコラムを寄稿していると言っていたので読んだ。不安になるくらいよく作られた一冊だった。面白い。そして怖い。
 本の内容は、著者が集めた様々な「怪文書」を著者の解説付きでまとめているものだった。初めはこの怪文書で展示会をしていたらしく、それを本にしたものと書かれていた。

 読み進めるほど言葉の意味が分からなくて怖かった。支離滅裂な文字と何かを訴えようとしているような筆圧、「連絡してください」とメールアドレスまで書かれた紙。著者によって黒く塗りつぶされている。それがまちの掲示板や、インターネット上にアップされているていでまとめられているのだ。そうあくまで全部フィクションである。本の帯から全部フィクションだと念押しされている。こんなに言われても本当にありそうで怖い。フィクションだということを忘れたり、疑ったりするところもあった。

 特定の思想を広めようとしたり、助けを求めたりする文書、「怪文書」はきっと現実にある。インターネットの掲示板では、そういう文書を投稿するのが流行っていた時期があるとも書かれていた。nちゃんねるの有名な怪談話もそういう類いなのだと思う。ああいうのは心が健康なときにしか読めない。この本もそうだった。よかった、比較的健康で。

 普段小説をかみ砕いて砕いて読もうとしている私に、新鮮な読書体験だった。文字を追いかけているのに意味が全く分からない。意図が分からない。理解しようとすればするほど不気味な穴にはまっていく。何か裏がありそうなのに、怪文書の書き手は純粋に何かを訴えているだけなのだ。その表の意味も私には分からない。

 作者はホラー小説家らしい。インターネットが題材になっているところや、AIの画像生成を使っているらしいところが新しいなと思った。他に一冊小説を持っているので、そのうち読みたいと思う。心が健康なときにしよう。

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