見出し画像

変化

お風呂上がりの院長がなんか変なことをしている。しきりに顎の当たりを触っている。「歯医者の麻酔の後みたいな感じやな?」どうやら右の下顎の前当たりがしびれているようだ。
「最近右の唇をよく噛むなーー」と院長が言い出したのは5月の連休明けくらいからだ。

コソ・デ・ポンタ

画像1

ここからは、動物病院で居候されてもらっているマキの先輩保護猫である俺コソが動物病院での院長のようすを伝えよう。

院長が動物病院を開業したのは1993年6月のことと聞いている。大学の同級生だった副院長ミーミ先生と結婚3年後に開業したらしい。俺は開業の頃の病院のことはくわしくないが、2人の娘さんを病院の2階自宅で育てながら夜間、早朝も急患対応をしていたようだ。M先生は子供をおんぶしながら手術助手をしていたと話していた。

俺が保護されてからかれこれ15年になる。つまり!俺はこの動物病院の半世紀を知っていることになる。俺は保護猫というが一般的に言う保護猫、つまり飼い主がいなく名前も貰えず外をさまよっていて保護されたというというお気まりのパターンではない。俺の場合は、飼い主がいて名前もあっが、病気入院していて退院できるようになったのに飼い主が迎えに来ず病院に置き去りにされたのだ。その後ずっと院長の好意により動物病院で生活している。だから動物病院での院長の様子は、ほとんど知っている。

マキのいう連休明けくらいからの変化は病院では全く感じられなかった。いつも通りの元気な院長だった。体調の変化はなかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?