今日の一福
2024/03/06
ジャスト1万円の奇跡の体験―――それはスーパーでのお会計。
いやビックリもビックリよ。あたり前に消費税込みのお話だからね。1の次に0がよっつ並んでいるワケ。まるまるして何かかわゆい。思わず「うっそ!」て叫んじゃったさ。
そうしたらば真向いで、レジ担当のおねえさんたら、
「おめでとうございます!」
て、満面の笑顔。
いやキレイだ。ステキだった。星が飛んでた。
お花まで咲いて見えたのは、わたしのあたまがどうかしてるだけでは決してないはず。
それでますますコッチの気分はアゲアゲだからね。
なんだったろうね。
魔法使いか。
「ありがとうございます!」
なんて、わたしのほうまでいつにない愛想の良さよ。キャッキャしちゃった。
「いいお買い物できました~」なんて、あらヤダ迂闊。失笑しちゃうね。
しかしこれが終始イイ気分てやつだから、不思議だったね。
だって実際、よくわからん会話だからね。
スーパーで1万円の買い物をしてそのお支払いをしましたってだけだからね。つまらんことよ。それで「おめでとう」「ありがとう」は一般的には噛み合わねえよ。
そのくせ妙にうれしい。謎に弾む。
このちぐはぐな調子がまた笑けてくるという、このどうも合点のいかないインチキじみた感性が、日常をパチリと光らせる。しかもそれを誰かと共感できる。そんなように錯覚できる。
いやはや参るね。とんだ奇跡。とんだインチキ魔法だぜ。
ただし一瞬。
たかが一瞬。
それで終わりよ。続きはナシよ。
あっけないね。ウソみたいだね。
なんだったんだろうね。なんでもないよね。
それでもね。
「おめでとう」
「ありがとう」
目には見えない触れ合う袖へ。
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