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良い獣医師、良い動物病院の判断は

考えうる限りのベスト、あるいはできうる限りの飼育管理や環境づくりに努めていたとしていても、疾病や健康異常が起こる可能性が完全に "0" になることはありません。
動物との暮らしを趣味にしている以上、予期せぬ事態が起こることもないとは言い切れないでしょう。

このような場合に、自分で疾病や対処法を "決めつけてしまう" ことの危険性については以前コラムでもご紹介しました。
https://note.com/calliophis/n/n2b0449b798da

ヘビの様子が普段と違う場合、 ”どこが普段と違うのか” についてよく観察して可能な限り(自分なりでもよいので)言葉にまとめ、獣医師の先生に相談する際に伝えられる準備をしておく必要があります。(実際に獣医師の診察を受けなかったとしても、その "異常" について記しておくことは、以後の飼育管理に活かすと言う意味で重要です) 
こうした "異常の言語化" によって診察の際に、いち早く対処法を判断してもらえるきっかけとなることがあります。

異常に気づくためには当然、 "異常ではない状態" も知っておく必要があります。そのためにも普段から全てのヘビの状態を(彼らのストレスにならない程度に)把握しておかなければなりません。(https://note.com/calliophis/n/ne0c9ea0be718

優れた獣医師と出会うために

さて、飼育個体の異常を感知した場合には、できるだけ早く信頼のおける獣医師の診察を受ける必要があります。
しかし、この "信頼のおける獣医師" を捜し、良い関係を築くというのが、実はそれほど簡単なことではありません。
まして、ヘビとなれば飼育管理者の絶対数も少ないですし、獣医師の側から考えても診察する機会は多くないでしょう。

"うちではヘビの診察は受けられません" と回答してくれるところはまだいい方で、勝手な判断で誤った診察結果、誤った治療法をして事態をさらに悪化させてしまうなどということも少なくないようです。

疾病や健康障害が起きてからあわてて捜しても、すぐに良い獣医師と巡り会える可能性は低いのではないかと思います。
したがって、事前に優れた獣医師の先生とコンタクトし、関係を築いておく必要があります。

良い獣医師を探す手段の1つとして、健康状態に問題がない状態の時に "飼育相談" の依頼をするという方法があります。
まずはウェブサイトなどで、ヘビの診察を受けてくれるのかどうかを確認した上、電話で "現在、健康状態が悪いわけでありませんが、飼育環境などについて相談したいのですが" と問い合わせてみると良いでしょう。

相談を受けられない、という動物病院もありますので、その時点でまずいくつかはハネられます。
"受けられる" という場合には、実際に動物病院に行って相談してみます。1回目には、できれば生体を病院へ持ち込むことは避けた方がよいでしょう。"その時" に健康な個体でも輸送によるストレスで何らかの異常が生じることもないわけではありません。

相談の際に(あるいは電話で相談したい旨を伝えた際に) "(次は)生体を連れてきてください" と言われたら、その際にはできるだけストレスのかからない状態を意識した上で(振動や外光の影響ができるだけ少ない状態を意識する)病院へと持ち込みます。

飼育相談の際の確認事項

飼育相談で必ず確認しておきたいことは、主に次のようなことです。

  • 1.現状の飼育管理、飼育環境に問題がないか(ケージの大きさや温湿度管理について)。

  • 2.比較的起こりやすい健康異常(脱皮不全、拒食、マウスロットなど)が起きた際の対処法、これらが起こらないようにするための対処法について

  • 3.現状の餌の種類や給餌間隔に問題がないか。

  • 4.これまでに診察したヘビの疾病について、できる限り聞く。その疾病・健康異常が起きてしまった原因についてもできるだけ詳しく。

  • 5.診察の結果 "わからない" 場合もあると思われるがその場合に、もしくは深刻な健康障害が起きて他の病院での治療が必要になった場合に、他に紹介してもらえる病院はあるか。

  • 6.獣医師の先生 ”自身” が飼っているヘビ、あるいは爬虫類について。その飼育管理で苦労していることなどがあれば聞く。

良い獣医師の先生かどうか、を判断することの1つは、"わからないことはわからない" と 答えてくれるかどうかです。
わからないけれど多分こうだろう、と言う判断で誤った治療をしてしまうことで深刻な健康障害に発展したというケースは少なくありません。
したがって、まずは "わからない" と 言ってもらえるかどうかの判断は重要です。

また、当該の動物病院には治療に必要な設備が揃っていない場合もあるでしょう。その際にも他のより大きな病院を紹介してもらえるかどうかが、生体を救えるかどうかのカギとなる場合もあります。

このような ”横のつながり” 、そしてその先生自身が "信頼している獣医師" がいるかどうかは、良い獣医師であるかどうかの判断基準の1つとなるでしょう。

また、その獣医師の先生が自らヘビ、あるいは爬虫類を飼育しているかどうかも重要なファクターと言えるでしょう。
"爬虫類を診られます" と言われても実際に自分で飼育しておらず、飼育管理の実情について知らない、いわば論文の上での知識だけではイレギュラーな事態に対応できないと言う場合も少なくありません。

そのような獣医師の先生自身の飼育管理について聞いてみることは、現状の飼育管理の参考という意味でも非常に重要です。

現状の飼育管理について相談、専門家の意向を確認することはもちろん、こうした質問をしてみて納得のできる回答が得られるようなら、定期的に飼育相談に訪れることで良い関係を築けるようにします。

これらに加え、何よりもその獣医師の先生自身との相性という問題もあります。中には非常にエキセントリックな人もいて、相談しづらい、話しがしづらいというような場合もないわけではありません。

非常事態が起きた際、会話そのものに気を遣わなければならないようでは納得のゆく診察、治療を受けることは難しいでしょう。
それを確認するという目的においても、ヘビが健康な時に飼育相談をすることには大きな意味があります。


あまりあってはならないことですが、飼育しているヘビの健康に異常が生じた場合。頼ることができるのは "専門家" 、すなわち獣医師の先生です。
信頼できる獣医師の先生が "たった1人" でもいれば、普段の飼育管理にも心の余裕が生まれることでしょう。
異常事態が起こる前からそのような優秀な獣医師の先生と良好な関係を保つこと。これは、長期的に健康・健全なヘビの飼育においては不可欠なことだと言えるでしょう。

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