見出し画像

部屋とケージの温湿度操作③湿度管理

無理に "理想値" に近づけようとしないこと

ヘビの飼育における湿度管理で最も重要なことは、これまでにたびたび記してきたように "空気、および湿気ができるだけ動いていること" です。

そのためにケージの仕様が何よりも大切だということは、先にご紹介しましたが("理想のケージ" とはどんなものか|cobra_thief (note.com))、優れたケージさえ用意すれば湿度管理がすべてうまくいくか、というともちろんそんなことはありません。

ポイントは自然な湿度(その日、その日の空気中の湿気)を把握し、それを利用して行う "自然な湿度管理" です。

具体的には、(加温器具を常時使用している関係もあって空気が乾きやすい)冬場は基本的には加湿器を使用しますが、雨が長時間降る日には加湿器は使用しない。

あるいは、梅雨時などの特に高湿な状態が続くシーズンにはできるだけ窓を開けて空気を透し、自然な乾燥を促す、などです。

温度、湿度のいずれもそうなのですが、さまざまな器具を使って理想値に近づけようとしても、どこかで必ず "無理" が生じます。
そして、その無理を通そうとすると、もはや何のための温湿度管理ががわからなくなります。
"この数値が理想” というのはあくまでも目安であり、常時その数値を保持することがそのヘビのためになるかというとそんなことはないためです。

温度も湿度も、自然下では常に動いており、さらにその "動く幅" は意外に大きい場合も少なくありません。
むしろ常時一定の温度、一定の湿度が続く、という方が彼らの身体のセンサーにとっては異常なことだと言えます。

あくまでもこれを踏まえた上での、一応の適正湿度の目安は最も湿度が低い個所で30%最も湿度が高い個所で70%
この範囲内が目安で、雨天時などには、一時的には湿度80%を超すこともあります。

一方で(いずれも正常な管理ではほとんど考えられない数値ですが)部分的にでも20%以下になるようなら乾燥過剰、同じく部分的に90%を越すようだと湿度過剰だと考えられます。

あるいは非常に幅広い、とお感じかもしれませんが、このくらいの湿度推移でヘビはほぼストレスを感じることはありません。
逆に慢性的な高湿状態、すなわち常時70%を越すような状態では様々な疾病を発症する確率が劇的に高まるようです。これはおそらく彼らが強いストレスを感じている、ということでしょう。

ケージ内の加湿のポイントは "間接加湿"

なお特に乾燥する冬場、部屋の加湿には加湿器を使用しますが、ケージ内をさらに適正な湿度に調整するために有効な加湿方法は "間接的な加湿" です。

例えば床材の上に湿った枯葉を敷く、給餌の際に餌のトレーの周辺に湿ったアナカリスを置く(ヘビが餌を食べる際に自らの身体に水を浸し、ケージ内を這いまわって湿気を散らしてくれます)、雨の日に窓を開けて湿気を自然に室内に取り込むなどです。

ケージ内に霧吹きなどで直接水をまいてしまうと、明確な高湿となるほか、 床材の土が水を含みすぎて不健全な状態(泥田状)となることから、ヘビが嫌がります。
また、地中の環境も著しく悪化することが考えられますので、絶対に避ける必要があります。

なお、高湿を推奨する理由として、脱皮不全との関連性が紹介されていることもありますが、実際には湿度と脱皮不全との間にはほとんど関連性はありません。
そちらについてはまた、項目を改めてご紹介いたします。

この記事が参加している募集

#ペットとの暮らし

18,358件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?