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「よいサービス」は誰が決めるのか?

「サービスの品質」の測定方法

コールセンターに関わらず、顧客に対するサービスでは「サービスの品質」というものが 問われる。自分たちがお店を利用する、レストランで食事をするといったときに、商品やメニュー内容だけでなく、店員などのサービスをあれやこれやと論じることは多い。「あそこの製品は好きだけど、あの男性店員の態度が悪かったので買う気が失せた。」「あのレストランはハンバーグが絶品なだけじゃなく、店員のサービスの姿勢がすばらしい。」などだ。

サービスの品質の科学的な分析は、実は日本は後進国である。どのようにサービスの品質を測定するのか、しっかりと議論されることが少ない。「ものづくり」では、ザ・日本品質とかいっているにも関わらず。 

サービスの品質は高ければ高いほど良いのだろうけれど、それはどのように測定するのだろうか。その最も有力な基準は顧客の評価だ。お客様がサービスをほめてくれたり、気に入ってくれたりというのが一番確かなものの一つだろう。測定の方法としては、お店においてあるアンケート用紙に記入してもらったり、ぐるなびなどの顧客によるレーティングサイトなどのデータを活用したりする方法が考えられる。

アンケートに答える人は客観的なのか?

顧客=利用者/購入者によるアンケートやレーティングっていつも信頼できるものなのだろうか。

自分に当てはめて考えると、サービスがごく普通で、まあ及第点の時はわざわざアンケートに記入したりはしない。面倒だからだ。またサービスにものすごく感動した場合も、それをお店に伝えたくてインターネットにわざわざアクセスしてコメントを入力したりしない。その場の満足感が優先して、気持ちのよい余韻を楽しみたい。

どちらかというと、「これは納得できない。」「ひとこと言っておかないと気がすまない。」とか、自分の職業柄「コメント書いたら、ちゃんと返事がくるものなのかな。」などと、サービスの課題を指摘したい時のほうが圧倒的に多い。

また自分の周りを見渡すと、いつもアンケートやコメントを残す人ってどうなのだろう。律儀に、利用している会社のファンであり、いつもなにかフィードバックをすることで良くなってほしいと思っている人も、もちろんたくさんいると思う。でも、これはかなり偏見も入っているかもしれないが、毎回アンケートやコメントを残す人って、なんとなく「面倒くさい」タイプじゃないだろうか。

お客様からの自主的なフィードバックに期待するだけでは、サービスの品質を評価するのは難しい一面があるのがわかるだろう。

製造物の品質を信頼する理由

製造物、たとえばスマホやタブレットの製造ラインで、「自分たちの製造プロセスには間違いないので、品質チェックの必要はありません。完璧な商品が出荷されているはずです。」と言っている会社の商品をあなたは購入するだろうか。およそ物の製造ラインにおいて、製造プロセスの段階ごとに、一定の割合で無作為にピックアップした製品や途中生成物について、品質チェックが行われているはずだ。そうして、一定のレベル以上に欠陥品が出ないように製造プロセスで検品調査をして確認していくのだ。 

サービスの品質=モニタリングで測定

製造プロセスの検品調査をサービスの現場に当てはめた活動が、モニタリングだ。

実際の対応の様子(音声や画面操作の遷移)を会社で決めた品質基準でチェックをする活動をモニタリングというのだ。顧客に対する満足度調査や意見(Voice Of Customer)の収集と分析が外部評価だとすると、モニタリングは内部評価だ。

モニタリングは、現在の基準に照らして、その基準に見合ったサービスが提供できているかを確認し、評価する活動となる。

モニタリングは実践されていない

モニタリングの活動が、しっかりと行われているコールセンターは実はすごく少ない。モニタリングには手間ひまがすごくかかるし、実際に効果的な方法をとらないとリソースばかり取られる。応対内容を聞くほうも、聞いて評価を受ける方も疲れるだけだ。

普段からモニタリング行っておらず、内部評価の基準がはっきりしないコールセンターでは、顧客からの苦情に右往左往してしまう。顧客の要求が理にかなっていて、会社としての誠意ある対応やプロセスの改善が必要なのか、それとも理不尽な要求なのか判断ができない。結果としては、オペレーターや現場の責任ということになってしまったりする。

オペレーターも人間だから、お客様との相性やタイミングもあるだろう。品質の高い対応ができるオペレーターだって、苦情やクレームの電話になってしまうことはある。そのようなときに、個人のオペレーターを責めるのではなく、会社としてのサポートやプロセスの改善につなげるためにも、品質の外部評価(顧客満足度)と内部評価(モニタリング)の両方から、チェックすべきなのだ。

まとめ

・サービスの品質の科学的な分析は、実は日本は後進国である。
・品質の評価には、外部評価(顧客満足度や顧客の声)だけでなくて、内部評価(モニタリング)が重要である。
・内部評価の基準をつくらないと、本当によいサービスは実践できない。

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