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カルトワインでみるレストラン

ワインリストはそのレストランがワイン好きにとっていい店かどうかを雄弁に語る。リストの構成、説明、内容をざっと見るだけで、店がワイン選びに誠実に取り組んでいるかどうかがなんとなくわかるものなのだ。店の姿勢がわかれば、ワインリストとウェイターの信頼性もおのずと知れる。この店は信頼できると思えば、普段飲まないワインにチャレンジする気にもなるだろう。
(NYスタイル ワイン・ブック マーク・オールドマン 著)

アメリカのレストランに行く前に、ワインリストをみるのがたのしみです。
日本のレストランは、ホームページにワインリストが掲載されていないことが多いのですが (なぜかわかりませんが…)、アメリカはたいてい掲載されています。
たのしみな理由は以下の3つです。

1. レストランがどのくらいアメリカワインに力を入れているかがわかる
2. あらかじめ当日のみたいワインに思いをめぐらすことができる
3. 知らなかったすごいワインをみつけられる場合がある

この記事では、1について書きたいと思います。

ワインにどのくらい力を入れているかは、掲載数でおおよそわかりますが、具体的にはカルトワインが置いてあるかどうかをみればわかるのでおすすめです。

またもう少し掘り下げますと、カルトワインの本数、ヴィンテージあるいは設定価格で、よりレストランの事前学習をすることが可能です

「相当力を入れているな」とか、「設定価格が高すぎるな/良心的だな」などです。
相当力を入れている場合には、レベルの高いソムリエがいる可能性があるので、当日ソムリエとお会いすることもたのしみのひとつとなります。
設定価格が高すぎる場合には、ワインのセレクションには注意したほうがよいと思います。そもそもレストラン自体への親しみが薄れますが…。

さて、まだ渡米は容易ではありませんので、例として、日本にあるアメリカ系ステーキレストランのワインリストをみてみたいと思います。

「Wolfgang’s Steakhouse ウルフギャング ステーキハウス」です。

日本には5店舗あるようで、各店舗でワインリストが異なることは大変な驚きです。むしろ、あえてリストをかえることで、全店舗で異なるたのしみがあることを示しているかのようです。

PDF MENU LISTの「Wine List」をクリックしてみてください。そして、カルトワインを探してみてください。

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結論から申し上げますと、すべての店舗のリストを合わせると、11つのカルトワインすべてが用意されていました。ここまで用意されているレストランは珍しいです。そして、2000年代前半だけでなく1990年代のヴィンテージも保有している店舗があることも驚きでした (たとえば、福岡のMaya 1995)。
たとえば、ソムリエに「⚪︎⚪︎⚪︎があるようですね」と話しかければ喜ばれるかもしれません。アメリカでは、レストラン内のセラー見学をしばしばさせてもらいました。
特にSine Qua Non シネ クア ノンに至っては、毎年ラベルや名前をかえているので、宝探しのようでもあります。

価格は、少々高く感じましたが、日本なので仕方ないのかもしれません。もう少し安く設定することができれば、さらに流行る気がするのですが…。同じものですが、店舗で約4-6万円価格が違うものもあるようでした (たとえば、六本木と丸の内と青山のScarecrow 2013と2016、あるいは六本木と丸の内と大阪のHarlan 2014など)。

ウルフギャングの創業者が長年にわたりウェイターをしていたのが、同じくニューヨークの老舗「Peter Luger ピーター ルーガー」です。
そしてなんとそのピーター ルーガーが昨日恵比寿にオープンしました!
予約でいっぱいと思いますが、いつの日か、熱プレートにのせられた熟成肉はもちろんのこと、クリームスピナッチも存分にたのしみたいところです。

ワインリストは見当たりませんでしたので、他に有名な「Benjamin Steakhouse ベンジャミン ステーキハウス」のワインリスト (六本木京都) もおたのしみください。

ちなみに、レストランでカルトワインをのむことをおすすめしているわけでは決してありませんので、ご留意ください (笑)。

要確認ですが、これらのレストランでは、おそらくワインの持ち込みが可能です。
ワインリストの事前学習の上、リストにないワインであれば、“特別なもの” として持ち込むのも悪くないかと思います。何かしらの配慮は忘れずに…。

ただ、プレミアムワインをレストランで飲むことは、あまりすすめない。ただでさえ高額なワインがレストランではさらに高くなり、数人分のフルコースの総額よりも、一本のワインの方が高くなりかねないからだ。予算的に料理とのバランスが悪くなってしまう。本来ならば、「ワインは料理の従」だと思うから。
(知識ゼロからのプレミアムワイン入門  弘兼憲史 著)

(Photo by Hanxiao on Unsplash)

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