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アメリカのすごいワイン 〜 もうひとつのS..... とクレーム ド カシス?! 〜

昨年、ホリエモンが潜入したプレミエ ナパ ヴァレー、最新の中田敦彦のYouTube大学で紹介された書籍「安いニッポン」といい、日米に大きな物価の違いを感じる今日この頃。

前回は、アメリカでいちばん高いワインとして、Sine Qua NonとScreaming Eagleを取り上げました。

今回は、アメリカのすごいワインとして、もうひとつのS.....をご紹介したいと思います。

もうひとつのS.....

アメリカのすごいワイン、その名は、

Scarecrow (スケアクロウ)

です。

何ともシンプルで、とてもかわいいシンボルです。ラベルに使われています。
オーナーの祖父J.J. Cohnが製作に関わった映画、オズの魔法使いのカカシに由来します。

実はこのScarecrow、毎年開催されるプレミエ ナパ ヴァレーのオークションで、2014年に史上最高額で落札されたのです。

その額はなんと、
60本で26万ドル
でした。

1本で45万円です!
(1$=103円換算)

いったい何がすごいのか

このワイン、いったい何がすごいのか。

実はこのワイン、樹齢70年、1945年に植樹したナパで最古の樹 (Old Men: オールド メンと呼ばれる) から採られたCabernet Sauvignon (カベルネ ソーヴィニヨン) でつくられました。

オールド メンは、ワイン産業の宿敵であるフィロキセラ (害虫) の被害から逃れました。
現在は、2エーカー (サッカーグランド 2つ分!?) のみに生えているようです。

それだけではありません。

最初のビンテージである2003年で、Robert Parker Wine Advocate 97点の評価。
4年後の2007年ビンテージで100点を獲得しました。
そして2011年のプレミエ ナパ ヴァレーのオークションで、2009年のScarecrowに当時の史上最高額がついたのでした (12.5万ドル/60本)。

2012年 スケアクロウ (Scarecrow)「Toto’s Opium Dream: Scene III」

さて、2014年のオークションで出品されたScarecrowは、現在売られているでしょうか。

そのワインのビンテージは2012年なのですが、「Toto’s Opium Dream: Scene III」と特別な名前が付けられました。
先ほどwine-searcherで調べたところ、何と世界で1か所だけ売っているところがあるようでした

55万円(税別)でした。

飲み物としてはもはやあり得ない金額ですが、オークションの落札額から考えると、極端には値段をつりあげていない印象をもちました。
みなさんはどのように思いますか。
売っているだけでもすごいことです.....。

2012年 スケアクロウ (Scarecrow)

実は通常のScarecrowは、Toto’s Opium Dream: Scene IIIとは異なり、オールド メン以外の樹からのブドウも使われているようです。

それでは、通常のScarecrow Cabernet Sauvignon 2012年ビンテージは、いくらで売られているでしょうか。

Wine-searcherで調べますと、世界で約7-10万円で売られているようでした。

Toto’s Opium Dream: Scene IIIではないですが、プレミエ ナパ ヴァレーの史上最高のものにもっとも近いワインであると思います。

中身もすごい!?

肝心な「Scarecrowの味の特徴」について、もっとも有名なワイン評論家のRobert Parker (ロバート パーカー) のコメントから少しだけ考えてみたいと思います。

Scarecrowは、2007年ビンテージ以降、Robert Parker Wine Advocate 100点を3回とりました (2013, 2014, 2016年)。
そのうち、2007年、2013年、2014年ビンテージがRobert Parkerが評価したものです。

彼が3回ともに使った表現があります。

それは、

crème de cassis (クレーム ド カシス) 

でした。

ワインのテイスティングコメントとしては、一般的ではないのかもしれませんが、”ベストな”ワードだったのでしょう。このワインの大きな特徴かもしれません。

クレーム ド カシスは、ウィキペディアによれば、以下のように記載されていました。

クレーム・ド・カシス (Crème de Cassis) は黒すぐりを原料とした、甘味の強い深紫色のリキュールである。様々なカクテルに使われる他、そのまま(ストレート)でも楽しまれる。

黒すぐりなどの黒系果実は、カベルネ ソーヴィニヨンに対してよく使われる表現ですが、おもしろいのはそのリキュールである点です。

リキュールは、ウィキペディアによれば、以下のように記載されていました。

リキュールとは、蒸留酒(スピリッツ)に果実やハーブなどの副材料を加えて香味を移し、砂糖やシロップ、着色料などを添加して調製した混成酒である。

つまり、甘さを感じるインパクトが強かったことは間違いないと考えられます。

ということで、近所で買ってきました。安くすぐに手に入るところがいいですね。フランス産ですが.....。

クレーム・ド・カシスをはじめてそのまま口にふくんでみましたが、想像以上に果実味があり、美味しいものでした。もちろん、予想どおり、甘かったです。(あたりまえか..... 苦笑)

そしてこれだけではありません。
彼が2つのビンテージで使った言葉が3つありました。

それは、

1. licorice
2. forest floor
3. extraordinary concentration / massively concentrated / enormously concentrated

でした。

リコリスは、植物ですが、薬味に加え、やはり甘い香りが強いと思います。
また、forest floorは塾成香と思います。
さらに、非常に濃縮あるいは凝縮感があることもわかります。

このように、外見はあんなにシンプルなのに、中身は複雑ですごいんです。
バランスが完璧で、非常に力強く、長い余韻である旨のコメントもありました。
これらは、特に、低収穫、遅摘み(による熟度の高さ)、長期間のオーク樽熟成などからもたらされるのだと想像します。

のどがかわいてきました.....。

今日もScarecrowのHPはかわいいカカシが迎えてくれています。

(Header Photo by Jaime Casap on Unsplash)

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