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「生活」と「音」

最近無くした習慣がある。それは、外食中に「音楽」を聴くことである。大学生の時は、歩いていても「音楽」、自転車を漕いでいても「音楽」(本当はダメです、ごめんなさい)、もちろん外食中も、スーパーで買い物をしている時も常にイヤホンをして「音楽」を聞いていた。それ故に幅広い「音楽」に出会えて日々が楽しかった。

しかし、先日少し本を読みに行こうと家の近くの古臭いカフェに向かって少し歩いた時、ある事件が起こった。イヤホン(大学1年生の時に友達がくれた思い出AirPods)の充電が切れてしまったのである。さて、ここで二つの選択肢が自分の元に迫ってきた。それは、「イヤホンを充電するために出直す」か「そのままカフェへと突撃する」かである。生憎、有線イヤホンは会社に置いてきてしまい持ち合わせていない。結局、「俺は本を読みに行くんだ、音楽を聴きに行くのではない。」と自分に言い聞かせ、「そのままカフェへと突撃する」選択をした。

数分歩いてカフェに辿り着いた。もうこの時点で「音楽」が聞けないことに少しイライラしている。頑張って気を取り直して、いつも通りメニュー表を眺めた。このカフェのいいところは、どこで売っているか分からない新幹線型の器に盛り付けられたお子様ランチや、白玉ぜんざいの横に高菜が添えられるなど、とてもユニークなメニューだ。いつも1人でこのメニュー表を眺めることにワクワクしていた。
しかし、その日はいつもと違ってある夫婦の「声」が聞こえてきた。

「このお子様ランチ懐かしい!この器絶対お子様ランチでしか使わないよねー。」
「俺はエビフライ欲しいな、唐揚げもいいけどお子様ランチは海老フライだよ。」

そう!そうなんだよ、あの器はお子様ランチでしか見ないし、お子様ランチに海老フライは必須なんだよ!
…危ない。馴れ馴れしく話しかけるところだった。不審者丸出しである。

しかし、一度「声」が聞こえてくるといろんな「音」が入り込んでくるものである。マスターであろう人が調理をしている鍋振り音、ホールのお姉さんが運ぶお冷の氷がコップにぶつかるカランカランって音、ポークステーキが鉄板でジュージュー鳴いている音などなど。ふと気づいた頃には、イヤホンの充電がなくて「音楽」が聞けないことへの不足感は無くなっていた。


ああ、自分はいつの間にか聴くだけで幸せになる「音」までシャットアウトしてたんだなと。


それ以来、外食時にはイヤホンをすることをやめた。それでも散歩中は「音楽」を聴いている(やっぱり「音楽」も好きなんです。許してください)。

外食中にイヤホンを外す。
「音楽」が好きな人こそ試してみて欲しいと思う。多分、幸せな「音」で溢れていることに気づけるので!まあ、たまにはキッチンとホールの口喧嘩も聞こえてしまうのだが…

さて、久しぶりに文章を書きました。
「生活」と「音」
それでは、今日はこのへんで。

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