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熊川哲也と漢字の共通点

たぶん誰だって脚が長いほうがいい。
しかしバレエダンサーの立場になると、必ずしも脚が長いほうがよいとは限らないらしい。
ある日、熊川哲也さんの著書を読んでいて、以下の文章を見つけました。

バレエ学校に入ったばかりのころ、僕は自分の体形にコンプレックスを覚えていた。(中略)
体型におけるコンプレックスはテクニックでカバーできたが、そのテクニックも生まれつきの身体的条件に大きく左右される。その点、僕はその条件に比較的恵まれていたと言えるだろう。

まず、西洋人とは体型のバランスが異なり、低重心による安定感が確保できた。相撲でいえば、欧米出身の力士は脚が長く重心が高いことが弱点となる。重心を低く安定させるために力士は四股を踏むわけだが、その点、東洋人の短い脚は安定感をもって踊るためにはプラスに働く。

熊川哲也『完璧の領域』

これを読んだとき、漢字を書くときのコツと同じだな。そう思いました。
例を挙げてみましょう。

どちらが安定感あるだろう?


左は重心の位置が低く、右は高い。
左の方がどしっと見えないでしょうか?
これは書の作品を書く時も同じで、よく「頭を大きく書きなさい」と言われます。

ちなみに、左右へのハライは多少長めに書いた方が安定感が出て、字も華やかでのびやかに見えます。

左:ハライ長め   右:ハライ短め


右は少し縮こまって見えます。

ただし、これはこれでやり過ぎると途端に字がいやらしく、自己主張の強い字になるので、注意が必要です。

脚が長い方がスタイルはいい。ただし、重心の位置は地面から近い方が安定する。そんなお話。

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