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歌とダンスで怪異と勝負!(しない)(レビュー:『ミンナノウタ』)

オススメ度:★★☆☆☆

人気ラジオ番組のパーソナリティを務める、GENERATIONSの小森隼。 収録前にラジオ局の倉庫で30年前に届いたまま、放置されていた「ミンナノウタ」と書かれた一本のカセットテープを発見し、数日後にライブを控える中、突然姿を消してしまう。マネージャーの凛は、事態を早急且つ秘密裏に解決するため、元刑事の探偵・権田に捜査を依頼。メンバー全員に聞き取り調査を進めるが、失踪した小森がラジオ収録の際に聞いた「女性の鼻歌のような、妙なメロディーが頭から離れない」と言っていたことが判る。他のメンバーたちも “少女の霊”を見たと証言。やがて、少女の霊の正体は、“さな”という女子中学生だということが判明するが、彼女が奏でる“呪いのメロディー”による恐怖の連鎖が始まる・・・

 本作は音の怪異である。「呪いのビデオテープ」が見ると呪われて死ぬように、カセットテープに入ったメロディを聞くと呪いを受けて神隠しに遭う。『ミンナノウタ』と題されたその作品を作ったのは、当時女子中学生であった故・タニヤサナ。清水監督としてはタニヤサナを伽椰子のような新たなホラーアイコンにしたいのだろうな、という感覚を見ていて受けた。

 続編の『あのコはだぁれ?』も、どうやらタニヤサナを怪異とするホラー映画らしい。やっぱりホラーアイコン化したいのであろう。

 本作だが、キーとなる呪いアイテムである『ミンナノウタ』の成立過程や、それを追っていく調査パートなど、探偵系ホラーとして楽しく見れる部分も多い。タニヤサナはホラーモンスターとしてのパンチはまだ弱いが、「不思議ちゃんだと思っていた女子中学生がガチのサイコさんで、みんな(自分含む)の断末魔を集めて呪いテープを作った」という設定も悪くない。『ミンナノウタ』というタイトルもなかなか皮肉が効いている。

 一方で、見ている時の分かりづらさや満足度の低さは問題だ。一つには、起用されているGENERATIONSの面々の呪いとの関わり方の弱さにあるだろう。

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