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雑記:勘弁してくれ!


 この点は重要なので繰り返し明記しておくが、青色ひよこ氏は何も悪くない。このような表明をすることも、法的手段に訴えることも氏の正当な権利である。

 問題なのは、これの引用リプで大量に寄せられている「原則禁止!」「違法行為!」「許可の取れているものだけにすべき!」といった意見である。中には「こういう行為が嫌いだから止めるべき」といったものすらあるが、それはその人の好き嫌いの話でしかなく、われわれ著作者には何の関係もない。むしろ権利侵害にも等しい行為だ。

 非常に迷惑である。勘弁して欲しい。

 さて、この問題だが、まず、原則禁止ではない。だが、確かに違法行為ではある。しかし、違法であっても悪ではない。

 この辺りを紐解くには長文が必要になるので、この点を押さえたい方は私が以前に書いた記事をご参照頂きたい。

・閑話休題。で、さらに言えば、公式側が二次創作に関して許可の範囲を明確にするガイドラインを出した場合だが、これが著作権法上の「利用の許諾」に当たるのか、「著作権違反してても特に訴えませんよ」という「表明」に当たるのかは微妙なラインである。私はかつてダンゲロスの二次創作フリーのガイドラインを作る際に、「これはあくまで表明」であると(講談社を通じて)弁護士から説明を受けている。
 
・「表明」である場合、それが何を意味するかと言うと、公式の提示するガイドライン通りに二次創作を行ったとしても、その二次創作は「著作権侵害」で「違法」であるということだ。逆に言えば「違法」とはその程度の意味しかない。

 皆さんはびっくりされると思うが、公式が「二次創作していいですよ」と表明を出したとしても、なお違法の可能性があるのだ。「違法=悪ではない」というのはこういうことで、この話はかなり複雑だ。だが、「違法」という言葉は「悪」のニュアンスを強く含むので、実際のありようとは別に独り歩きして、われわれにとっては迷惑な風潮を生み出しかねない。それを懸念して今回は公開記事を書いている。

 おそらくは、芦原先生の件の流れで「原作者を大事にしよう」という風潮が生まれている余波と思われる。大事にして頂けるのは有り難いのだが、その気持ちも暴走すると逆にわれわれを苦しめることになる。われわれは「見逃すか/見逃さないか」をリスク・リターンの観点から秤にかけて検討しているのだ。個人的な所感で言えば宣伝効果の方が大きいと感じている。

 最後にもう一度繰り返すが、青色ひよこ氏の表明は何も悪くない。こういうことを書くと早とちりした人が「分かった! 青色ひよこ氏が二次使用をガミガミ言ってるのが悪いんだな!!」みたいに言い出しかねないが、青色ひよこ氏は自身の権利を正当に行使しただけであり、全く何一つ悪くない。勘違いなさらぬようお願いする。


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