見出し画像

マルチ商法をおちょくっていたら、とんでもなく危険な集団の真相に迫ることになった話 ~事業家集団(秋葉原)編⑩~

前記事:マルチ商法をおちょくっていたら、とんでもなく危険な集団の真相に迫ることになった話 ~事業家集団(秋葉原)編⑨~

最初から読む:マルチ商法をおちょくっていたら、とんでもなく危険な集団の真相に迫ることになった話 ~ライ○バンテージ編①~

今回の体験をベースにした小説:マルチ商法女と戦っていたら、もっととんでもないものと戦うことになってしまった件

前回、Uに事業家集団への所属を認めさせた僕は、次々と質問を浴びせるうち、別の恐怖を感じ始めたのだった……。

僕「系列ゼロってことは結構経済負担大変じゃないですか!?よく頑張ってますよね!」
U「はい、僕は師匠についていこうと決めたし、日々成長を実感しているので。」
僕「でも、仕組みとか知らずによく頑張れますね。師匠って具体的にいくら稼いでるんですか?」
U「僕もいくら稼いでるかとかは全然知らなくて、知ってるのは9系列以上いるってことと、お店を出してるってことなんです。それに、人徳があるので付いていこうって。正直仕組みは全然分かってないし、多分コアのところは教えてもらってないんですけど、あんまり気にならないんですよ。やっぱり信頼できる人かどうかというとこですね。」

駄目だこいつ……!!理屈が通じない。

完全にイってしまっている。

※その後脱会者に聞いたところ、ダウンがいないような下っ端は本当に組織の全貌を教えてもらえないとのこと。つまり、とぼけていたのではなく素で知らなかったのだ。

ここで机の下でスマホをチェックしたところ、他の二人からメッセージが来ていた。

Aさん「これはやばい、頭悪いのかな。どうしよ。ゴールなんだっけ?」
Bさん「とりあえず認めさせるのが第一段階ですね。」

僕はもう充分詰められたと思っていたのと、Uが完全に洗脳された人間であることが分かったので

「こりゃダメだ、とりあえず認めさせるところはクリアしたので終わらせちゃいましょう。」

と返信。ここからクローズすることにした。

ここまでのやり取りから、Uが完全にカルトに洗脳されてしまっていることが分かり、僕は洗脳された者、いやその背後の組織に対する、ある種の恐怖を感じ始めていた。

僕「そうですか、僕は理詰めでいくので、仕組みに納得いかないとやってけないですねー、Uさんは人を見るポイントとかありますか?」
U「うーん、そうですね、成果を出していることと、約束を守ってくれることですかね。」

うん、そうだね、お前は約束の時間を守れたことないけどね!!

僕「なるほど、Uさんは、将来の目標とかあるんですか?」
U「そうですね、安定した家庭を持って、自由な時間を使って子育てとかすることですね。僕、最初に入った企業がブラックで、月100時間以上残業してたんですよ。でもそれだとまずいなって。そんな時にし◇じさんと知り合ったんです。」
僕「なるほど。僕はまあ、エンジニアとして凄腕になりたいので日々勉強してます。」
U「僕は仕事も経営の勉強もしてるんですけど、正直技術は全然身に付いてないんですよ。運用保守ばかりやってきたのでプログラムも書けないし……。」

Uには今彼女もいないので、環○の他にやることがあるのでは...!というのはさておき、このあたりから「誰でも引っ掛かっちゃうことがあるんだろうなあ」と考え入りながら話をしていた。

「幸せな家庭を築きたい」というのは実にまっとうな願望だが、ブラック企業で精神がやられてる時に危ない奴らに狙われてしまうと、その夢をおかしな方法で実現できると洗脳されてしまう。出会った人が違っていれば別の選択肢も取れたかもしれないが、ここまで来るとほぼ運の世界になる。下手をすると仏教で言うカルマのようなものを連想してしまうかもしれない。精神的にやられると誰でも判断力が下がる。Uの場合は師匠の言う通りに正社員から派遣企業に転職(この時点ではブラック企業から抜けられたと喜んだのかもしれない)、そこからフリーのエンジニアへと働き方を変えたのだろう。ところが仕事の技能を身につける期間を、謎のチームビルディングに使ってしまったためエンジニアとして先が見えず、引くに引けなくなっている……。こんなところだろうか。一人の人間の人生をここまで決めてしまうとは、本当に恐ろしい奴らである。そしてUも勧誘をしているわけだから、その片棒を担いでいる。

その後はAさんに「ちょっと時間が……。」と言ってもらってその場を切り上げ、3人で軽い打ち上げをした。「完全に認知が歪んでしまっている、洗脳されている。」というのは他の2人も感じていたらしく、また救いを求めた先がカルトだったということについて、結局は運や宗教、哲学の話になってしまうのではないかということでも一致した。

彼のような人物は、本来であれば宗教や共産党といった共同体が包摂していたのだと思う。ところが日本社会は宗教も政治団体も「一般の人が関わってはいけないもの」としてしまったので、行き先を失った層がマルチ商法や情報商材に吸い込まれるようになってしまった。これに対する答えを、僕は見出だせていない。仮に「普通に宗教団体に入りゃいいんじゃないの、そんなに金取られないとこに。」と言ったところで、Uには響かなかっただろう。

戦いからの帰り道はしみじみとしていたが、帰ってからLINEを開いた僕は、Uからのメッセージを見て戦慄してしまった。

U「なぜ○○さんを知ってたんですか?」
※ここには書かなかったが、環○をやめた人の話題を少し出していた。
僕「いやー、たまたま酒場で知り合った人が元環○の人で、教えてもらったんですよー。」
※本当はTwitterで知り合った人に元同じチームの人や環○の中で上まで行ってた人がおり、教えてもらった。
U「そうなんですね😅ちなみに何て人ですか!?😅」

画像1

おいおい、しれっと裏切り者の名前を特定しようとしてんじゃないぞ!!怖いよ!スターリンかお前は!!

特定したら粛清でもするつもりなんだろうか?単純そうに見えてやっていることが完全にカルトで、その洗脳の完璧さに改めて戦慄した。

しかもその後、

U「それで、昨日の女性のお友達はどーしますか?😅 繋がっても良ければLINEおねがいします」

画像2

あの展開でよく紹介してもらえると思えるな!!

完全にあっちに行ってしまっている……。しかも、三人とも結構頻繁に机の下でスマホいじってたので、グルだと分かりそうなものだが……。それとBさんを完全に無視してるあたりが実に失礼な奴だ!!やっぱりもっと煽っときゃ良かった!!!

今回の戦いで、環○は師匠のミーティングや自己啓発セミナーで会員を洗脳し、養分獲得マシーンに変えてしまう恐ろしい組織だということが分かったが、同時に人生のほろ苦さも実感することとなった。本当に、誰にでも起こりうる悲劇だと思う(特に東京と大阪)。

こうして僕の長い長いマルチ商法、および事業家集団との戦いは終わった。気づけば連載は全部で20話となり、それなりに長くなってしまった。

ここまで読んで下さった読者の皆様、お疲れ様でした。「人の集まるところには必ず危ない人がいる」ことを認識頂き、今後の危険回避にお役立て下さい。

~(今度こそ本当に)完~

(と言いつつおまけ記事があります)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?