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とあるカフェの古時計の物語。

私は、
几帳面と言われます。

円を描くときは、
中心から1ミリもずれず、
キレイ完璧な360°
長い針と短い針の2重円。

それは当たり前のことだと思っていましたが
ほかの者たちにすると
すべてにおいて
少しもずれない私の行動が

めずらしく、
興味深のだそうです。

毎日、
一定のリズムを正しく刻み、
少しもずれることなく

今の時間を伝えておりました。

それは私にとって
とても心地よく、
満たされたことでありました。


ですが、ある日
事件が起きました。

私の大切な一部の
「ネジ」がいなくなったのです。

大声で呼びかけても、
どこを探してもネジはいません。

これは困りました。

ネジの身に
何かあっては大変です。
とても心配でなりません。

それと同時に
私の心配事は
時を正確にお伝えすることが
できなくなったということでした。

そんなある日、
一枚の置手紙をあずかったと
キャメルのランプが
私の元へやってきました。

そこに書いてあったのは
ネジによる、ネジらしい文字でした。

「一度、外の世界をぐるっと見てみたい。
 自分探しに出かけます。
          ネジより」

私は思い出しました。
ネジと交わした会話を・・・。

「古時計、君はチクタクチクタク
 時を刻むことに
 何を思うんだい?」

「急にどうしたんだい?ネジ。
 そうだねぇ、
 正確に時を刻むことが、私の幸せなんだよ。」

ネジはそれから黙りこくったまま
ずっと何かを考えているようでした。

まだ若いネジには
私の言葉の23%も伝わらないのかもしれない

そう思いながら
ずっとネジを見守っておりました。

そのネジが旅に出てしまった。
正確に振り子を左右に動かすことができなくなった。

思い悩んだ結果
私はネジを待つことにしました。

そこで、店主に言って
しばらくの間
私は休暇をもらうことにしました。

なぜなら
ネジがいなくなった今、
正確な時間をお伝え出来ないからです。

私が正確に時を刻むことが
幸せで満たされることを
ネジ真に理解してくれた時

再びネジが戻ってきてくれた時に

また、
正確に時を刻もうと思います。

もしどこかで
「ネジ」を見かけたら
ずっと待ってるから、
いつでも戻っておいで

とお伝えください。

by 古時計

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