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オリジナルブレンド珈琲の秘密

ふたつの仕入れ先の秘密

うちのお店にはオリジナルのブレンド珈琲が2種類あります。

一つは、さらっとスッキリ爽やかな浅煎りの「めがねブレンド白」と、

もう一つは、しっかりとしたコクのある深煎りの「めがねブレンド黒」。

実はこれらのブレンドは、それぞれ違うコーヒーロースターの方に作ってもらっているのです。

多気町のBs'ショップさんには「めがねブレンド白」を、松阪/明和のオトモニコーヒーさんには「めがねブレンド黒」と自分と話し合いながら理想の珈琲豆を完成させてくれました。

今は珍しくはないかもしれないけど、オープン当初よく周りの人に違う珈琲豆屋さんから仕入れていると話すと驚かれた。確かに、大抵のお店は一つの仕入れ先から珈琲豆を仕入れている事が多いと思うし、それが普通なのだろう。

カフェをオープンする前、どこから珈琲豆を仕入れようかと考えた時、二つのお店が候補にあった。

そのお店はどちらも僕が珈琲好きになるきっかけになったロースターだった。

普通なら、どちらかのお店を選ぶのだろうけど、僕は迷うことなくふたつのお店から仕入れることにした。

なぜ迷うことなくそう決断できたのか。

それは優柔不断などではなく、前職の経験に基づいた判断であった。


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カフェを経営する前は印刷・製本会社で働いていて、僕の持ち場は製本工場で、日々汗水流して本を作っていた。資材管理の仕事をしているわけではなかったのですが、ある日こんな話を上司から聞くことができた。

本の材料である紙は二つの会社から仕入れていると。

実は、仕事で紙を扱っている時、同じ素材、同じ厚さの紙なはずなのに、紙のくせが違う時があった。

例えば、紙を折り機にかける時、ある会社から仕入れている紙から違う会社の紙を折り機にかける時、すんなり紙が機械を通ってくれなくて、調整に時間がかかる事が多々あった。

全部同じ会社から仕入れたらこんな手間はかからないのにとずっと思っていたのだけど、上司の話を聞いて納得できたのです。

違うところから仕入れている理由の一つに、仕入れ先が一つだと、もしその仕入れ先の会社に何かあった時、紙が仕入れられなくなるからだという。うちの会社は紙が無かったら完全にラインがストップしてしまい全く仕事ができない状態になってしまう。

その為に、二つ仕入れ先があれば、片方に何かトラブルがあった時、もう片方の仕入れ先から紙を仕入れることが出来るので仕事が止まることがないのだ。

現に在職中、片方の製紙会社の紙に不具合が出たことがあり、その会社から少しの間紙を仕入れる事ができなかった時があったが、仕事がストップすることは無く作業できたのです。


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そんな経験もあり、珈琲豆の仕入れ先を決める際、うちのメインメニューとなるのは珈琲なのでこれだけは絶対に仕入れ続けないと営業できないぐらい大事なことだったので、ふたつの珈琲ロースターから珈琲豆を仕入れる決断したのです。

ふたつ仕入れ先があれば、万が一、片方のロースターの方が例えば病気になったり怪我をしたりして一時的に仕事ができなくなった時にも、どちらかのブレンド珈琲は仕入れることができる為、カフェを休む事なく営業できるのです。

ふたつの仕入れ先を持つ理由は自分の為でもあるが、もちろん、二人のロースターの方が信頼できて、美味しい珈琲豆を作ってるれるからというのが前提にあります。


ブレンドの名前の秘密

さて、ずっと気になっている人がいたかも知れませんが、続いてはブレンドの名前についてお話ししたいと思います。

二人のロースターの方に、オリジナルのブレンド珈琲を作ってもらおうと決めてから、ブレンドの名前は考えました。

2種類のブレンド。

それぞれ対照的なブレンドにしたいと考えていて、名前も対照的にしたいなと思ってました。

うちは古本の販売もしているブックカフェで、古本にまつわる名前が良いなと考えた結果、「白」と「黒」という名前を思いつきました。


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古本の業界には「白っぽい本」と「黒っぽい本」という業界用語があります。

「白っぽい本」とはそれほど古くなく最近出版された新しめの古本のことで、逆に「黒っぽい本」はその名の通り黒く煤(すす)っぽく汚れたような茶色く日焼けした昔の古書といった感じの本のことで、簡単に言うと、「白っぽい本」はブックオフで「黒っぽい本」は街にある昔ながらの古書店とイメージして頂けたら分かりやすいでしょうか。

さらに、もう一つ隠れた意味があり、


「白っぽい本」=「素人好みの本」


「黒っぽい本」=「玄人好みの本」


と、ちょっとダジャレが入っていたりもします。

確かに、昔ながらの古書店は玄人好みのイメージがありますね。

そんな「白っぽい本」と「黒っぽい本」からインスピレーションを得て、「めがねブレンド白」と「めがねブレンド黒」と名付けました。

「めがねブレンド白」はちょっと軽めで爽やかなイメージの珈琲で、珈琲が苦手な人でも飲みやすいようなまさに素人好みのブレンドに、逆に「めがねブレンド黒」はちょっと苦味がありタバコに合うようなまさに煤っぽく玄人好みのブレンドをイメージして作ってもらいました。

なんか、煤っぽくと言うと美味しそうに感じないですね(笑)

でもあくまでイメージで、どちらのブレンドも飲みやすさを追求した珈琲になっており、白の酸味も、黒の苦味もそれほどキツくありません。

現に、今まで珈琲が苦手であんまり飲んでこなかった人も、この珈琲なら飲めると言ってくれることが多くあります。

さらに、珈琲が嫌いだった方がめがね書房の珈琲を飲んで珈琲にハマり、珈琲を淹れる機具まで購入し自宅で自分で珈琲を淹れて飲むようになった人もいました。

スライド1

ちなみに、このブレンド珈琲のロゴマークは、お店のロゴを考えてくれたグラフィックデザイナーの友達に頼んで作ってくれました。めがね書房らしいロゴで気に入っています。


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最高のオリジナルブレンド珈琲が誕生して、今では自信を持ってお店で提供しています。

最近では、ブレンドではないのですがデカフェも始めました。

以前から珈琲が好きなのに、妊娠しているなどの事情でカフェインが取れないお客さんがカフェインレスの珈琲を求めていたので、デカフェの珈琲豆を作っているロースターにタイミングよく出会ったこともあり、デカフェの豆を仕入れることにしました。

なので、今は珈琲豆の仕入れ先が3つに増えました。


CAFEめがね書房の珈琲はお店でしか味わえないとしていたのですが、新型コロナウイルスの影響を受け最近ではオンラインショップで特別に販売することもあります。

今この記事を書いている時点では、珈琲豆の販売をしているので、もし興味がある方は購入してみてください。今度いつオンラインショップを閉めるか分かりませんのでお早目に♫


また、珈琲好きな方にも仕入れ先のロースターをオススメしたいので、それぞれのショップのリンクも貼らせていただきます。


Bs'ショップ

僕が初めて珈琲を美味しいと感じたスペシャルティーコーヒーと出会った珈琲豆専門店。このお店と出会わなかったら今のようの珈琲を売りにしたカフェはやっていなかったかも知れません。最近はイートインスペースも出来て、店内でゆっくりと珈琲を味わえます。


otomoni coffee

イベント出店の時に知り合い、三重県内では数多くのファンを持つ人気ロースター。明和に2店舗目がオープンし徐々にその活躍の幅を広げている。


colorful coffee

当店でデカフェを検討している時に良いタイミンで出会ったお店。珈琲の焙煎だけに止まらず、カフェの他に県内外様々なお店とコラボしたイベントを頻繁に開催している。




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