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テスラ株 強気派? 弱気派?

はじめに

テスラの株価については強気派と弱気派がいます。でも実際には年初来から株価はグングン上昇してきました。強気派はお金を増やし、弱気派は機会損失となりました。行き過ぎた弱気派は空売りをしかけてお金を大きく減らしてしまったことでしょう。この記事ではそれぞれの視点から情報を俯瞰しテスラ株をとりくむのにまちがいを起こさない考え方を解説していきます。

チャートをみてみよう

テスラの株価が23年の年初来で+139%、4月の直近ボトムから+68%上昇しています。エヌビディアなどとともに2023年前半の米国S&P指数をリードしてきた銘柄です。

決算をみてみよう

4月発表の23Q1決算をみると、①コンセンサス予想との比較、②売上・EPSの成長、③利益率のトレンドなどパッとしません。
❌売 23.33B$(予23.36), YoY +24%
⭕️EPS 0.85$(予0.85), YoY -21%

23Q1の台数もコミットメントの年率+50%成長には届きませんでした。
🔸生産 440.8台, YoY +44%
🔸納車 422.9台, YoY +36%

2023年に入って値上げ、値下げを繰り返していますが、決算書から推定平均価格・原価を分析すると利益を出すのに苦しんでいるとわかります。

<23Q1自動車部門決算からの分析>
🔸平均売価 45,287$, YoY -9%
🔸平均原価 34,986$, YoY -1%
🔸原価率 77%, YoY +7pts

ここまで決算をみて判断すると業績は今一つで「テスラ弱気派」をサポートする内容になっています。

そもそもテスラ株はチャラい性格を持つ

長期株価と株価収益率(PER)
2021年末のピーク株価は400ドルに達しPERは400倍を超えていました。
直近 (2023年6月13日) 終値は259ドル、PER(TTM)76倍 (FWD)75倍です。
テスラは期待で上昇する典型的なテーマ株、高金利に弱い高PER株という性格を持っています。ニュースでチャラチャラと踊るし、金利の上下にも鋭く反応するキャラクターを忘れてはいけません。

最近のニュースラインをみてみよう

2023年、年初来から続々とポジティブなストーリーが発表されています。
🔸実際の成長や利益体質の強化につながる内容
🔸保険業、チャージングステーションなどの新たな成長戦略
🔸ツイッター新CEO決定などマスクのテスラ集中への期待値
🔸スペースxなど将来の夢につながるイノベーション

これだけ並べば、投資家の「チャラチャラごころ」をくすぐるのには十分でしょう。これらははっきりと株価を上昇させる要素になります。

🔸テスラ、インドネシアに工場建設で合意へ=報道 (2023/1/11 ロイター)

🔸BRIEF-テスラのマスク氏、メキシコでの新たなギガファクトリー建設発表 (2023/3/2 ロイター)

🔸テスラ、次の一手は生産大変革 「EV製造コスト半分に」(2023/3/28 日経)

🔸米テスラ、テキサス州で100万台分のリチウム生産へ=マスクCEO (2023/5/9 ロイター)

🔸マスク氏、テスラにより集中か ツイッターCEO決定で=市場筋(2023/5/13 ロイター)

ウクライナ軍向けスターリンク端末、米国がマスクのスペースXから購入 (2023/6/5 Forbes)

🔸テスラ、「モデル3」の全種が対象に-米政府のEV促進税額控除(2023/6/7)

🔸テスラ独走へ、電動アクスル1000ドル以下(2023/6/9 日経 X-TECH 有料記事)

🔸テスラが変える自動車保険 安全スコア駆使、3割安も(2023/6/12 日経・有料記事)

🔸EV充電3社、米でテスラ規格対応の設備提供へ(2023/6/13 ロイター)

🔸テスラで最も抜け目のない製品は充電ネットワーク-市場制覇へ着々 (2023/6/14 Bloomberg)

マクロ環境はどうか?

マクロ環境の中でもっとも重要な金利。そして現在の逆金融相場において金利政策の緩和に最も大きな影響を持つのはインフレの動向です。

🔸米消費者物価指数、5月は前年比で伸び鈍化-利上げ休止の余地 (2023年6月13日 Bloomverg)

上記記事のグラフを引用 (2023年6月13日 Bloomverg)

物価上昇の鈍化傾向がはっきりしており、高PER株の株価をサポートする要素になっているでしょう。

複眼的な視点が投資で勝ちをひき寄せる!

ここまで3つ視点でテスラという銘柄を見てきました。
🔸決算はいまひとつ、
🔸ニュースラインはポジティブ、
🔸マクロ環境はサポーティブ、
という状況ですね。
極端な弱気派というのは弱い決算に重点をおきすぎてほかが見えていない「自信家でアタマでっかち」な投資家でしょう。
本当に強い投資家は複眼的な視点を持つことで勝ちを引き寄せたり大負けを避けたりすることができます。


📝2023年6月15日 マクロ環境について追記

6月発表の政策金利は据え置きでしたが、パウエル議長は「インフレ沈静化に向けて引き締めを再開する可能性が高いとのシグナル」も発しました。
テスラ株にとっては少し警戒すべきニュースでしょう。

FOMC金利据え置き、ほぼ全員が利上げ再開予想とパウエル議長 (2023/6/15 Bloomberg)

上記記事のグラフを引用 (2023年6月15日 Bloomverg)
最新のドット・プロット(金利予測分布図)出所:FRB

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