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メインメニューと心中する覚悟 │ カフェ開業メソッドvol.06

さて、店をやるにあたり、まずは何よりも「何屋さんをやるのか?」です。

そのお店の生命線となる「4番バッター」を確定しないことには何も始まりません。4番はもちろん、全打順全て(サイドオーダーも)決めましょう。

メニューを決めないとお店の内装や設備も決まりません。

特に設備面で大後悔することにもなります。

メニューによって冷蔵庫が家庭用レベルでもいいのか業務用が必要なのか、似たような話でコンロは二口または三口以上必要とかそういうことです。ダクトの整備が新たに必要であればかなり高額な出費になりますが、それがいるのかいらないのか、オーブンもいるのか、その設置スペースはどうするか、などなど・・・。

内装の話はもちろんまた後述しますが、店舗設計で真っ先に決めるところは厨房です。厨房はお店の心臓部です。何のメニューを出すかによって効率的な配置、動線、全て密接に関わってきます。

さて、まだ開業前の現段階でこんなことを思っているかたはいないでしょうか、それは・・・

「メニューの確定はある程度お店が軌道にのってから。またはお客さんの反応を見て、ABC分析(ファミレスや居酒屋チェーンでだいたいやってます)を順次やって決める」という考えの人、私はこれ、けっしてオススメしません。

軸が同じ中での調整は大いにありです。
たとえば、「【ワインのお店】の中で、赤と白同等のラインナップを揃えていたのが反応から見て大幅に赤を増やし、白を削減することにした」←これは大いにあり。というよりやるべきです。

しかし、「ワイン中心で行く気ではいるけど、場合によっては日本酒の店に業態変更」というのはコンセプトから何からガタガタに崩れます。とにかく避けましょう。

そもそもそうはならないようにメインメニューと心中する覚悟で始めましょう。

さて、ここまで言っておいて今からおかしなこと言いますね。

それは・・・メインメニューも決めて、厨房設備その他もろもろの環境全て整えて心中の覚悟も出来たのに、それでもなお、それら全てを無駄にしてもなお、変更すべし!と魂が叫ぶ(?!)レベルまでに達したなら・・・変更しましょう(え?)。

当に心中してはいけません。

こういう勇気と決断もこれまた重要です。

ただ、ここまでの事前覚悟もないまま軽い気持ちでスタートさせることは本当に避けるべきなのと、そもそも店側からのメニューへの熱い思いがあってこそお客さんはそれをキャッチするものです。

ではその肝心要のメインメニューはどういうものにすれば良いのか?

そんなこと自分で決めてください(笑)。

ただし、商売という観点から見るとふさわしくないものはここに挙げることは出来ます。
それは、あまりにマニアック過ぎる、ニッチ過ぎるといったメニューを4番に据えるのは商売成功確立は限りなく低くなります。よく個人店こそチェーン店が手を出せない「ニッチで奇をてらった商品で勝負」という話を聞きますが、じゃあそれやってみろと言いたいです。

例えば「ギムレット専門店」(これ今本当にただパッと思っただけです。実際【ギムレット】がどんなものかも私はわかってません)をやろうとしても、そういうのに向いているのは「一等商圏」、つまり絶対人口が多い立地である必要があります。「一等地」である必要はないのですが、ニッチほど「一等商圏」である必要があります。

立地に関してもまた後述となりますが、「一人で営むお店」は家賃試算からいって一等商圏は厳しいです。それらを踏まえて、例えば私鉄沿線の急行が停まらない乗降客数3万人以下の街に「ギムレット専門店」が成立しづらいのはなんとなく想像つくと思います。

全国のギムレット愛好家が集うといっても平日はみんな仕事があるわけで、土日に集中して終わりです。
それよりそろそろギムレットから離れますね(笑)。

誤解のないように言うと「○○専門店」という押し出しかたは有りも有り、というより個人店はそこに活路を見出すしかない気もします。ドリンクメインのお店で言えば、やはりコーヒー、紅茶、お茶(中国茶、日本茶)、ジュース、スープ、あたり。アルコールで言えばビール、ワイン、ウイスキー、日本酒、あたりでしょうか。

王道ですよね?そうです、

これら「王道の飲み物の専門店」ということです。
このへんの王道ドリンクの専門店、かつそれを頼まずにはいられないほど相性がいいサイドフードメニューを厳選して揃える、というのが有効な気がします。

これら踏まえると例えばこんな感じのお店ということです→

★「世界各国の優良産地だけから仕入れた果実のみを使い、注文が入ったその都度丸ごと絞ったジュースの専門店で、そのジュースを出す際には使用した果実の実物を一口サイズにして小皿に出して提供」オレンジやグレープフルーツなら一片、ぶどうなら2,3粒、いちごなら大きめ1粒程度」

アルコールのお店であれば、
★「ワイン専門店で、フードはチーズに特化し、世界の様々なチーズを取り揃え、チーズはショーケースにあってお客さんは自由に見に来ることが出来て、そのチーズの横には各種説明と相性の良いワインも書いておく」

などが今イメージするお店です。

しかし私はやらないでしょう(誰かやってください。行きますから)。

なぜなら自分はジュースやワインが好きで好きでしょうがないというわけではないからです。
実にベタな結論になりますが、やはり最終的な決め手は、そのメインメニューは自分にとって好きでしょうがないのかどうかが重要な気がします。

ところで今「世界の果実ジュース専門店」と「ワインとチーズの専門店」を挙げましたが、
これら二つのうち、好き嫌いは別にして、商売にはどちらが向いているでしょうか(1店舗のみ&ワンオペが条件)?、というクイズを出しつつ、「なんとしても何でも屋にはならない努力」なんとしても何でも屋にはならない努力」はすぐにその答及び「こういうことだけはやめておいたほうが良いメニュー構成」の話につづきます。

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