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事業計画書の書き方(前編)

起業の際に全額自己資金で賄うことが出来ればもちろんそれにこしたことはないのですが、融資をお願いする場合に「創業(事業)計画書」というものが必要になってきます。しかしこれは仮に全額自己資金で大丈夫な人にも必ず書きおこしておいてほしいものです。借入先に見せて理解を得るということと同じかそれ以上に自分自身にとっての経営指標であり、これから始まる航海への地図なのですから。

さて、実際に私が当時の国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫。以下「国金」)に求められた創業計画用紙というのはたった一枚の紙で、ものすごく大雑把なものでした。私自身がこれだと安心出来ないので、自分なりにそれとは別個の用紙作成をした結果、30ページくらいの冊子になってしまい、国金の担当者の方が「いや、ここまで細かくいらないし・・・」という表情と共に「随分詳しく書いてありますね」と言ってたことを鮮明に覚えています。

結論から言いますと、ぶっちゃけ「自己資金が半分」つまり「融資希望金額と同額の自己資金」が既に貯金(誰かからの金銭譲渡ではなく、年月をかけた積立の実績証拠として通帳は確認されます)としてあれば、おそらく融資はおりると思います。担当者が私の計画書全てに目を通していたわけではなく、また、ちょっとした質問をされると全て即答で返していたので、なんとなく担当者も訊くネタが尽きたようでもあり、こちらとしても少し警戒し過ぎで肩に力入れ過ぎだったような気がします。なにしろこの計画書作成に4年費やしたようなものですからね・・・。

ですからここまで細かいものは不要とは思いますが、ここは立場を代えて、あなたがどこの馬の骨とも知らない誰かに融資して確実に回収しようとなった場合のことを考えてみてください。

相手のお店のコンセプトやメニュー等なんて実は二の次ですよね?とにかく「返済能力があるのかどうか?」「これこれこうするから確実に返済が可能であるということに強烈な説得力がある」ことが最優先重要事項だと思いませんか?

ですからこういう部分をボカさず明確に表すようにしてください。今回この章では完全なる実例として、私自身の創業計画書を紐解いて白日のもとに晒します。概要や抽象論はどこでも読めたり目にしたりは出来ますが、私がかつて最も知りたかったのがこういう具体的な計画書の実例でしたので、こういうものを最も望んでいる開業準備者が絶対にいる(というよりいないとおかしい)と思うので、そのままここに書き写します。

一点だけ注意すべきことがあります。それは「ウソ」というには語弊がありますが、融資希望先にはポジティブで甘めの数値を書き、実際に誰に見せるでもない自分のための計画書には徹底的に辛めに書く、ということです。このへんのことはわかりますよね。

たとえばここに示してある実際に私が国金に提出した計画書の中では、原価率が実際よりも低め(安め)に設定して利益が多く出るようにしていますが、本当はもう少し原価が高かったり、運転資金には(物件がなかなか決まらない期間が長すぎて貯金を食いつぶしていたので)既に余裕がなくなっていた等の寒い台所事情もあるのでしたがそういう部分は表に出さないように・・・、わかりますよね(笑)。

というわけで超具体的実践編、「事業計画書の書き方」あらため、「事業計画書そのもの」を以下に貼り付けます。

第○○章とか順番はメチャクチャになりますが、今回と次回前後半に分けておおくりします。今回は融資希望先に対して重要なほう、つまり「お金」にからむことを先に述べて、その他のことを次回に述べますので、今回のほうが融資という観点からすると断然重要であるのでよく読んでください。それではいきなり途中からかいつまんで参ります。

※カフェラボ会員の皆様には希望者全員にこの事業計画書をノーカットで差し上げておりますがまだ閲覧されていない方はとりあえず以下の部分だけはお読みになっていただき、既に閲覧されている方はもう不要なものとなります。

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