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ロケットスタートなんてしない?サイレントプレオープンのススメ?

私のお店は2007年7月7日の創業時から今日に至るまで幸運なことに一度も赤字になった月がありません。ただひとつ2007年6月17日-7月6日までのサイレントプレオープンの期間を除けば、ですが・・・。

「プレオープン」や「開店レセプションパーティー」等の言葉は聞いたことがあると思います。本格的にオープンする前に友人知人親戚等、関係者のみに来てもらって、その中で店内オペレーションのブラッシュアップをはかっていく、というのが狙いで、本オープン後の一般のお客様相手の際に流れがスムーズにいくためにとられる手法といえましょう。

私の考えは違います。いや、「創業当初からのお客様に不手際のないようにしたい」という思いは同じです。そこは共通なのですが、手法が違います。

それは、「【サイレント】プレオープン」。そうです、全くアナウンス無しで、身内や友人知人に至るまで、内緒にしてひっそりとオープンしてみたのです。

当店の前をたまたま通りかかった人だけが気づくように、「今までもずっとそこに在ったかのような佇まい」で、シレ~っと開けてみたのです。とはいえ近隣の人々は以前の店舗が閉店し、内装工事(完全解体後、スケルトンからの大掛かりな工事)が二ヶ月間に及び、ある意味とても目立っていたので、「何が出来るんだろう」という注目度は結構あったと思います。

ですから、「サイレント」というのは「身内や友人知人にこそ非公開」という考えでした。SNS等での「友人のみ公開」の逆で、「友人のみ非公開」(笑)。もちろんネット上での一般公開は友人知人も見るため、ネット関係は全て非公開でした。

なぜなのか?これは、一般の新規のお客様に対して、とにかく全身全霊全勢力で対応したかったというのがまず一つです。

オープンするとさすがに心優しい友人知人たちは来てくれることでしょう。そして、やはりどうしてもそこで会話のやりとりも生まれるでしょうし、その際にはこちらもフレンドリーな言葉遣いにはなるでしょうし、店主の側も砂漠の中で出会ったオアシスのように、一気に気分も解放されるかもしれません。

問題なのはそこで完全なる一般の新規の方への集中が削がれるということです。

「え?だからプレオープンやレセプッションと称して、まずは友人知人のみを集めて、そちらで先にやっておいてから、本オープン後は一般新規のお客さまに全力を注ぐんじゃないの?」っていう意見が出る前にもう一つ、実はここからが本音です。

それは、
「友人知人にこそ初々しい部分を見せずに完全プロフェッショナルな姿を見てもらう」
ということです。

「一般新規のお客様にはアマチュア対応でいいの?」とかそういう議論はここではしません。私の考える好ましい順序として、「まず最初に、知人友人等に向かうあらゆる空気、感覚を削ぎ、一般の人に完全に集中する」というのが先(プレオープン)で、そのような「お店の創生期」に出会うお客様へのこちらの思い入れはハンパじゃない故、場合によってはその時のお客様側にもまた「自分がこのお店の創生期の人間なんだ」という意識も芽生え、超初期のお客様とお店側の強固な絆のようなものも生まれます。

そして、その後(本オープン)で友人知人が来店すると、既にそこには「一般のお客様の常連さん」が存在している・・・。こういう順番のほうが個人的に好みであるということです。

この順番が逆(というより普通のパターン)の場合、どうしても友人知人は、まだ出来たばかりのそのお店を応援したい、もっと良くしたいと思う一心から(これは本当に有難いことに違いありませんが)、アドバイスしたり、気になる部分に苦言を呈したりします。

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