店長には敵がいない -サポーターが集う店のコミュニケーション術-

以前やっていたお店が急遽移転することになり、なかなか発表できなかったこの記事。

やっとこさお店の全容が見えてきたので、晴れて日の目を見ることができました。

ガンバ大阪のサポータブログを書かれているロスタイムは7分さんこと、”こ〜”さんに書いていただきました。

彼のブログは勝ち負けや戦術などではなく、ガンバサポの日常や、ちょっとしたことを掘り下げてくれて文にしてくれる。

それがいちいち心にグッときてしまう。

そんな方に書いてもらえたのは光栄でした。

今まで色々なインタビュー行けたけどこれが一番好きです、僕。

まぁ人気ダイニングバーではなかったけども笑

では以下からがインタビューでございます。

店長には敵がいない -サポーターが集う店のコミュニケーション術-

著者:ロスタイムは7分です(こ〜)

人が集まる店には理由がある。年齢、性別、国籍、考え方......違いを越えて皆が楽しく過ご すために必要なものとは。大阪に店を構える人気ダイニングバー店長の言葉からそのヒン トを探った。

プロフィール

大塚正信

大阪府出身。自営業だった父親の影響もあり、2006 年より『ウマイモンバール アッソ』の 経営を始める。大のサッカー好きで、少年サッカーのコーチも務める。38 歳。


コミュニケーションツールとしてのサッカー

「酒、女、そして、サッカー」

《世界中で愛されているもの》としてこの3つを挙げた彼はその中の2つを武器に社会を生きている。

男の名は大塚正信。大阪で生まれ育ち、現在は東三国に店を構えるダイニン グバー『ウマイモンバール アッソ』の店長を務めている。

経営から接客、調理に至るまで マルチにこなす。「イギリスのパブ文化に憧れて」始めた同店は本場よろしく地元の J リー グクラブであるガンバ大阪サポーターが集まる店としても有名。

無論、大塚氏自身もガンバ 大阪に魅せられた一人だ。

「ガンバ大阪を通じて色んな人と出会える。肩書抜きで付き合え る。コミュニケーションツールとしてのサッカー。これは素晴らしい魅力の 1 つだと思う んですよね。うちの店、外国人もよく来るんですよ。そういう人達とも『お前らはどこのクラブが好きなんだ』という会話から打ち解けることができる」

普通のスポーツバーであればそうした場の提供で終了だ。しかし、大塚氏は更なる発展 を求める。

「人との信頼関係って本音で議論を交わして初めて生まれるものだと思います」と話す彼はサポーター参加型のトークイベントを不定期で開催している。ガンバ大阪 に関する「応援」「スタジアム」「補強」......様々なテーマにおける現状改善をトークテーマとするケースが多く意見がぶつかり合うこともあるが、そのコミュニケーションを機に付き合いが始まった事例は多いという。大塚氏の狙い通りなのである。

「儲かることより 面白いことが大切」をポリシーとし、イベントは入場無料で料理・飲み物の注文も自由。 さらにイベントの議事録をまとめてガンバ大阪に提出しているというのだからそのバイタリティには驚かされる。

当人は「自分が望むものを人にねだりはしない。なかったらつくる。そういうマインドは持っていると思う。やりたいイベントがあれば、自分でやればいい」と平然と話す。店と客という立場を越えて、人間関係を重視する大塚氏の店だからこそサポーターが集うようになったのだろう。

「世の中に敵っていないと思うんですよね」と語る大塚氏のコミュニケーション術は包容力豊かだ。

「すべては相手を認めるところからです。暴言を吐いている人がいても、その人がなぜ暴言を吐いているのか理由を考える。そこには違いがあるだけ。その違いを認める。認められたら人は嬉しいでしょ」。

飲食店を経営しているからこそ身に付いたメンタリティだと話すが、サッカーから学んだこともあるという。

「サッカーには正解がない。仮に多くの人が正解だと考えるものがあったとしても、10 年後には違う正解がある。 だから、決めつけてはいけない。色んな意見を尊重し、多様性を認めることが大切。対象への愛が同じであれば、細部の違いは問題じゃないですよ」


濃厚なコミュニケーションを避けがちな現代において、気持ちや考えをぶつけ合える場所は貴重だ。「飲食店って捌け口だと思います。溜まっているものがあるなら遊びに来てほしい。誰かに共有すると楽になれる。ネットで書くより、顔を突き合わせて話した方が 仲間にもなれる。直接のコミュニケーションなので不満も出てくるかもしれないけど、ブロックで終わらせる関係なんて寂しい」

大塚氏は続ける。

「けど、僕のことを敵だと思っている人は多いんですけどね!」

自虐を 笑う表情は仲間のことを話しているように穏やかだった。


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