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生きづらさの中にある美しさ「地上で僕らはつかの間きらめく」
文学ラジオ第65回の紹介本
「地上で僕らはつかの間きらめく」
オーシャン・ヴォン 著
木原善彦 訳
新潮クレスト・ブックス
今回紹介するのはベトナム系移民の自伝的小説。母と祖母とベトナムからアメリカに渡ったリトルドッグがニューヨーク大学に入るまでを描く、痛みと生きづらさ、それゆえの人生の美しさを描いた力強い一冊です。ラジオでは魅力やネタバレなしのストーリー紹介、テーマトークでは人生の息苦しさと美しさについて話しています。
本書を構成するのは、詩人である著者が字を読めない母に宛てた手紙です。心に残る言葉の数々に出会えたのも魅力でした。
〈だからそれはいつも、戻ってくることのない旅だ。ただ、子供が戻ってくるというだけ。ただ、未来が過去を再訪するというだけ。〉
〈だから僕たちの母語は、実は全然”母親”ではないーーむしろ、孤児だ。僕らのベトナム語はタイムカプセル。どこで教育が終わったか、灰になったかを記す標識だ。母さん、僕らが母語でしゃべるというのことは、ベトナム語をしゃべるというより、戦争を語るということなんだ。〉
〈めくられる紙の一ページは、対のない一枚の翼だ。だから、空は飛べない。でも、僕たちは心を動かされる。〉
本書のあらすじ
幼い僕を連れ、母は祖母と共に太平洋を渡った。戦争に人生を狂わされた祖母と、新天地アメリカでの生活に翻弄される母。二人の苦難は少年の僕にも影を落とすが、ある年上の少年との出会いによって、僕は初めて、生きる歓びを知る――。アメリカ文学の新たな才能による痛みと美しさに満ちた自伝的長篇。
【お知らせ】
リスナーの皆様とこの一年を振り返る「文学ラジオの一年を振り返るZOOMオフ会」を12月30日(木)14:00より開催いたします(1時間半か2時間の予定)。詳細は追ってお知らせいたします。
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