人類の存亡をかけた時間遡行戦「時砂の王」
文学ラジオ第58回の紹介本
「時砂の王」
小川一水 著
ハヤカワ文庫
3世紀の邪馬台国の卑弥呼と26世紀の未来から来たメッセンジャーが人類の存亡をかけて戦う時間SF。壮大なスケールの小説ですが、300ページ足らずで、読みやすく、忙しい日々の気分転換になる一冊です。
未来社会で人類はETと呼ばれる地球外生命体から狙われて滅亡の危機に陥るのですが、なぜ人類が狙わるのかという理由がおもしろい。このETが未来では兵器、過去では化け物として現れ、不条理な存在としていい味を出しています。
メッセンジャーは様々な時代にタイムスリップしてETへの勝利を目指して人類を率いて戦いますが、人類は自分たちのエゴによって敗北を重ねていきます。後には引けない最終決戦となった邪馬台国の時代に、卑弥呼とメッセンジャーはどう戦うのか。人類は愚かな失敗を繰り返すのか。手に汗握る展開が楽しいエンタメ作品です。
本書のあらすじ
耶馬台国の女王・卑弥呼を救った〝使いの王〟は驚くべき物語を語る。二千三百年後の未来、謎の戦闘機械群により地球は壊滅、人類の完全殲滅を狙う機械群を追って彼ら人工知性体たちは絶望的な時間遡行戦を開始した。そして三世紀の耶馬台国こそが、全人類史の存亡を懸けた最終防衛線であると。著者初の時間SF。
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