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強く生き、愛を大切にした日々を語る「終わりのない日々」セバスチャン・バリー著、木原善彦訳

文学ラジオ第129回の紹介本

強く生き、愛を大切にした日々を語る
「終わりのない日々」
セバスチャン・バリー 著
木原善彦 訳
白水社

現代アイルランドを代表する作家の長編小説。19世紀アメリカを舞台に、主人公トマスは先住民討伐や南北戦争を戦う強い男でありながら、女性としてのアイデンティティに目覚めていく。トマスの魅力的な語りによって、険しくも愛すべき日々をトマスとともに生きているかのような読書体験ができました。作品の魅力やネタバレなしでストーリー紹介をしていますので、ぜひお聴きください。

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本書のあらすじ
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アイルランドの巨匠によるコスタ賞受賞作品
語り手は、19世紀半ばの大飢饉に陥ったアイルランドで家族を失い、命からがらアメリカ大陸に渡ってきたトマス・マクナルティ。頼るもののない広大な国でトマスを孤独から救ったのは、同じ年頃の宿無しの少年ジョン・コールだった。美しい顔立ちに幼さの残る二人は、ミズーリ州の鉱山町にある酒場で、女装をして鉱夫たちのダンスの相手をする仕事を見つける。初めてドレスに身を包んだとき、トマスは生まれ変わったような不思議な解放感を覚える。やがて体つきが男っぽくなると、二人は食いっぱぐれのない軍隊に入り、先住民との戦いや南北戦争をともに戦っていく――。
西部劇を彷彿とさせる銃撃戦、先住民の少女と育む絆、はらはらする脱走劇、胸に迫る埋葬場面などが、勇敢な兵士でありながら女としてのアイデンティティーに目覚めたトマスによって、生き生きと語られる。
カズオ・イシグロは、「一言一句にいたるまでこれほど魅力的な一人称の語りには数年来出会ったことがない」と、本書に賛辞を寄せている。個性的な〈声〉の力強さと詩的な響きに満ちた、「西部小説」再興を示す傑作長篇。

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