中東での雪の思い出
今、雪国に湯治に来ている。降り積もる雪を眺めていると、ここは日本だと実感する一方で、中東でみた雪もふと思い出しもする。
イランの首都テヘランは、標高1000メートル以上の高地にあり、北東北とまでは言わないまでも、南東北地方ぐらいの寒さと積雪がある。
首都北方のアルボルズ山脈にはスキーリゾートが点在。さらに奥にはいるてイラン最高峰のダマバンド山が優美にそびえる。
雪景色の美しさでいうと、クルディスタンも素晴らしい。イラク北部にある、宗教的少数派のヤジード教の聖地ラリッシュを冬に訪れた時は、その美しさに息を飲んだ。
もっとも、雪を美しいといって喜ぶのは、そこに暮らしていない通りすがりの人の勝手な言い草かも知れない。雪が降った翌朝のテヘランの道路の混乱ぶりを私も何度も経験した。一番こわい思いをしたのは、冬にイラン南東部のバム遺跡に行き、ケルマンという街に戻る帰り、砂漠の真ん中で突然の雪嵐が発生し、乗っていたタクシーがスリップして前の車に追突した時だ。
テヘランならともかく、こんなイランの南方で雪嵐が吹き荒れるなんて、と自然の厳しさを実感したものだった。
雪は美しくもあり、恐ろしくもある。それも中東かは学んだことのひとつだった。
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