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中東シネマ倶楽部

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中東(オリエント)地域の映画レビュー、映画祭リポートをお届けします。
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#映画レビュー

歌あり踊りあり、それでいて深い社会批評…エジプト映画「炎のアンダルシア」

イスラーム映画祭がきのう終了した。今回、鑑賞したのは計5本。1本づつレビューを書いて、no…

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ISの外国人戦闘員の子ども達は救出されるべきか...ドキュメンタリー映画

イラクとシリアにかけて、一時は英国一国に匹敵する面積を支配していたIS(日本では「イスラ…

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戦争の傷跡残るクルドの街のヒューマンストーリー

東京の隣、埼玉県川口市は最近、クルド人が多く暮らす街として注目を浴びている。クルド人は、…

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サハラのカフェのマリカ(アルジェリア映画)

地中海の南、アフリカ大陸北部に広がる広大なサハラ砂漠。そのただ中で、女店主のマリカが1人…

映画「クレッシェンド」…クラシックの名曲と絶望と希望のハーモニー

イスラエルとパレスチナとの間のいつ終わるかも分からない紛争。長いスパンで見れば、両者の対…

「国境の夜想曲」…中東の哀しみの歴史を静かに奏でるドキュメンタリー

中東には、常に太陽が照りつけ、乾いた灼熱の土地だというイメージがおそらくある。それも事実…

イラン映画「白い牛のバラッド」

中東にあるイランという国。40年余り前に起きたイスラム革命で、神政一致のイスラム法学者による国の統治が始まり、今も続いていることで知られている。イランがイスラム体制の国、ということはもちろん事実なのであるが、だからといって、そこで暮らす国民すべてが、イスラム教の教義を信奉しているという訳でもない。それは、革命から30年後のイランに2年半ほど暮らしての実感だ。当たり前のことではあるが、ひとりひとりの国民みんなが国家に従属して暮らしている訳ではない。 イランが、グローバル化する

占領地で青い鳥を探す人々…パレスチナ映画「三つの宝石の物語」

「ガリラヤの婚礼」や「ルート181」などの作品で知られるパレスチナ人映画監督のミシェル・…

ラッパーを目指すアフガニスタン難民の物語…映画「ソニータ」

米同時テロから20年の節目、またアフガニスタンの武装勢力タリバンの政権奪回というタイミン…

タリバンに祖国を追われた家族…映画「ミッドナイト・トラベラー」

 ISがイラクで、宗教的少数派への攻撃をいっそう激化させた2014年。迫害を逃れるため、…

2人が今いる日本は、空の見える「監獄」なのか…映画「東京クルド」

クルド人は、中東のイラン、イラク、シリア、トルコにまたがる地域に数千万人が暮らす民族。現…

モロッコの独特なクレープと、薔薇の歌声も気になるしみじみ映画

地中海と大西洋に面する北アフリカの国、モロッコ。最大都市のカサブランカは、往年の名画のタ…

戦場で生まれた娘のため、シリア内戦を記録し続けた母

人は誰しも、悪夢のような体験をした時、「早く忘れてしまいたい」という気持ちになるものだろ…

「フリーランス搾取」、不穏な未来を描出した英国の巨匠の映画

ケン・ローチ監督の映画は、常に現代イギリス社会の「影」の部分に焦点を当て、それを怜悧なリアリズムで堅牢なプロットのドラマに仕立てる。ケン・ローチ作品の主人公は一貫して、外国移民、鉄道員、いじめを受ける少年など「社会的弱者」だ。 2016年のカンヌ国際映画祭で自身2度目のパルムドール(グランプリ)受賞作となった「わたしは、ダニエル・ブレイク」を最後に引退を表明。それを撤回してまで、ケン・ローチが描きたかったものは何だったのだろう。 新作「家族を想うとき」は、いま日本でも一般