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シカナイホボホボ

ある日のこと。
一緒に珈琲を飲んでいた姉が、「このところ気になっている言葉がある」と言いました。

姉:「『感謝しかない』って言い方、最近よく多用されてない? あれ、なんか気になるんだよね。うまく説明できないんだけど」
わたし:「ああ、たしかにネットでもよく見るね」
姉:「なんか、モヤモヤするんだけど」
わたし:「なんでかな。うーんたぶん、『感謝』っていう良い意味の言葉に、『しか』『ない』っていうネガティブな否定形をわざわざつける言い方だからかな? 『すごく感謝してる』『感謝でいっぱい』ではなくてね。まあ、きっと流行りなんだよ。そうやって言葉は変わっていくんだよ。
でも直接誰かが言ってるのは、聞いたことないな」
姉:「いや、みんな言ってるよ。ほぼほぼ、みんな『感謝しかない』だよ」
わたし:「あれ? お姉ちゃん、ちょっと前に『ほぼほぼ』って言い方嫌いって言ってなかった?」
姉:「………。言ってた……! 言ってたね。そして今私、普通に使ったねー! あっはははー!」

そう、姉は以前も「『ほぼほぼ』って最近よく聞くけど、あれ嫌い。『ほぼ』でいいでしょ? なんで2回重ねて言うの。しかも若干イントネーションおかしい」と文句を垂れていたのです。
流行り言葉にモヤモヤして文句つけるのに、気づいたら自然に自ら使っちゃえる姉の見事な順応性、というか変わり身の早さ、すごいです。
次々と登場しては消えていく新しい言葉を、ネイティブさながら流暢に使いこなせる姉がうらやましい。

流行っている言葉を、流行っているうちになかなか使えないわたしは、今、やっと「ナウい」が使えそうな気がしています。

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