見出し画像

The Brink's Company(BCO)の検討

The Brink's Company (Ticker:BCO)という装甲車と武装警備員で現金輸送を行う事業の会社の米国株の購入検討です。

まずは、モデルです。
黄色ハイライトの行が目標株価、その下の行が現在の株価です。
こちらが本記事の結論:「BCOの株価は5年で2.5倍になれる」なのですが、説明してまいります。

BCO - adjusted EBITDA yearly model

まず、モデルの構成として下記の公式で表せる考え方を採用しています。
・ 株価成長 = 売上利益成長(事業の成長) × マルチプル成長(EV/Adj. EBITDA)

この意味で、BCOは売上利益成長とマルチプル成長の両面での成長を取りに行ける会社です。

<売上成長>
バフェットコードの売上バーグラフは下記の通りです。
5年間CAGRは7%で、何よりも過去10年間程度は着実な売り上げ成長を達成しています。
投資の世界で求められるのは確実性ですが、その意味でこのような毎年綺麗に売上を伸ばしていける確実さは貴重です。

バフェットコードより BCO

<マルチプル>
次に多くの投資家が見逃しているのは、この会社が衰退業界にあるが、ジリ貧ではなく、売上を成長・利益率を向上させていけると見込めることです。
多くの投資家は会社全体のトップラインや利益成長を見ますが、わざわざセグメント別や通貨影響を確認しません。よって、BCOは現金輸送車による現金輸送ビジネスという現金が少なくなっている現代において成長しないというバイアスでディスカウントを受けています。(Seeking alphaによる sector median multiple(FWD EV/EBITDA)は11.5のところ、BCOは7.6と激安)

しかし、私は以下のカタリストがあると考えています。

カタリスト① DRS*/AMS** セグメントの成長:BCOはメインの現金輸送ビジネスであるCVMのほかに近年注力しているのがDRS/AMSです。特にヨーロッパにおいて、何十台ものののATMの管理及び現金輸送を受注、もしくはそのようなATMを管理している会社を買収しています。なかには、ATM自体を所有しているケースもあるようです。有価証券報告書を読み限り、このDRS/AMSの利益率が高そうで、この会社もその割合を引き上げようと努力しているようです。2022年は16%だったのが、2023年は21%と着実に増加しています。下記のエクセルをご覧ください。今後5年レベルでこれが利益率の向上をドライブしていくとみています。

DRS/AMS: digital retail solutions / ATM managed services
CVM: Cash and valuables management

BCOのセグメント別情報のまとめ。筆者作成。
左上に地域別・セグメント別の売り上げ。下に利益率。横に売上高の構成比。
黒枠がDRS/AMSの売上高構成比。
2022 16% / 2023 21%

カタリスト② CVMでの残存者メリット:もう一つの成長ドライバーが売上高の8割を占めるCVMのほうでの安定成長です。現金輸送のビジネスは寡占であり、この会社がトップとなっています。現金輸送のビジネスは新興国で引き続き必要であり、上記のエクセルの通り、売上の70%を海外(アメリカ以外のLatin america, Europe, rest of the world)で稼いでいます。しかし、先進国においては、現金輸送のビジネスは現金の使用の低下とともに衰退業界となっていくでしょう。ただし、ここでトップ企業が経営の悪化した弱小企業を飲み込む構図になると考えています。それはシェアを奪いという意味でもあり、実際に買収で飲み込む意味でもあります。まさに日本の家電小売り業界でヨドバシカメラが独り勝ちしているようなイメージかと思います。英語で言えば、last one standing となることで、弱小競合の撤退により利益を得ると考えています。

カタリスト③ 為替(今後のドル安・新興国通貨高):これはこれから1年で確実に発現するカタリストです。この会社は前述の通り、アメリカ以外で70%の売上を稼ぎ、その売上も現地通貨で受領しています。そのため、ドルが強い間は損をしています*。ドルが弱くなると、稼いだ新興国通貨ベースは同じでも、ドルに換算すると増えます。この影響で数字はかさ上げされます。細かいことを見ない投資家は単純にビジネスの成長と思い、この会社に注目し買いに来るでしょう。

*: 過去期も有報をよく見ていただければ2023にアルゼンチンの通貨の切り下げによって為替による損失を計上していたりしています。

以上の3つのカタリスト、DRS*/AMS** セグメントの成長、CVMでの残存者メリット、為替(今後のドル安・新興国通貨高)によってBCOは確実に上がっていくと思っています。

110ドルまであがっていたところ、先週の米国株の全面安で、少し前にもみ合った100ドル付近まで安くなっているため、絶好の買い場となっています

Seeking alpha - BCO


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?