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元純喫茶店主の徒然 #001

物心がついた頃から、私の実家の家業は喫茶店だった。

大学卒業後には、喫茶・飲食業界とは全く違う、金融業界に身を置くことになったが、十数年務めた会社を辞めて、喫茶・飲食業界に携わることとなった。

喫茶・飲食業界に携わるまでは、コーヒーのコの字すら知らず、日々勉強の毎日だった。

まず最初に始めたのは、コーヒーの淹れ方だった。経営者側の人間として、コーヒーも満足に淹れられなくては、スタッフに示しがつかない。

サラリーマン時代の、たまに飲む缶コーヒーが、私にとってのコーヒーだった。コーヒーをブラックで飲むなど当時の私にはあり得ないことだった。

ブラックで飲むコーヒーが美味しいと思えたのは、それからしばらく経ってからのことだったが、今ではブラックでしかコーヒーを飲まなくなった。

見聞を広める意味合いからも、他の喫茶店やカフェを巡ることも怠らなかった。時間を見つけては、口コミサイトやカフェ本を頼りに、沢山のお店に足を運んだ。

近くにあれば、足蹴く通いたいと思えるお店はいくつもあった。     ただ、そのお店が自店の経営において何か参考になるかと言えば、それはまた別の話。

逆に、「こんなことはしない方が良い」、「してはダメだ」といった粗が見つからることはよくあることだった。そう言った意味ではカフェ・喫茶巡りも決して無駄ではなかった。

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1年365日の内、お休みと言えば数日あるかないかという日々が2019年まで続いた。

そして2019年4月、お店の閉店を機に、元純喫茶店主としての徒然なる日々が始まった。

                               つづく


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