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意外と忙しい?海外サッカークラブの広報業務 ーカディスCF

こんにちは、カディス・ジャパンのAnaです。
『THE INSIDE LOOK』ではラ・リーガ1部所属カディスCFの現地スタッフが見たクラブのリアルな日常を発信しています。

最近はトロピカルで有名なカディスもめっきり冷え込んでいて、寒さに耐える設計になっていないスタジアム内のオフィスではみんな凍えながら仕事しています。

(床はタイル張りの部屋に小さなストーブが一つあるのみ……外気温8℃…死ぬ)

今回は広報部がルーティーンとして行っている業務について書いてみますね。本記事では大枠にとどめて、一つ一つの細かい話はまた回を改めてお伝えしたいと思います。


①新聞クリッピング

これはどの業界の広報チームでも基本だと思いますが、“クリッピング”と呼ばれる作業がありまして、毎日各メディアでの関連露出をチェックをして記録しています。新聞数紙に目を通し、クラブ関連の露出があればデジカメで写真を取ってデータ化、ウェブ記事もチェックしてPDFファイルにまとめておくという感じ。記録が終わった新聞は広報チームの部屋に置かれていて、他のチームのおじちゃんたちが雑談しにやってきては読んで帰っていくという日常です。

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サッカーの情報を得る上でスペインの特徴としては、メディアとして新聞やラジオが根強いということが言えると思います。ちなみに「Diario de Cádiz」 というローカル紙は1867年に発行を開始していて、スペイン国内でも最も古い新聞の一つだそうです。歴史が詰まった街であることが垣間見える瞬間ですね。

この新聞はスタジアム近くのバルやキオスコ(日本で言うコンビニ的な売店)で毎朝ピックアップします。

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<ラモン・デ・カランサから徒歩数分圏内にあるバルと売店>


②メディア運営

クラブが自分たちで運営しているいわゆる“オウンドメディア”ですが、ざっくり分けると 1)オフィシャルWeb、2) SNS、3) マガジン(紙)になります。

(※これ作業量を考えるとかなりのコンテンツの数です・・・)

まずオフィシャルWeb上にかなりの数のニュースがあがります。練習予定から試合の審判情報、パートナーシップ締結の話など話題の大小は様々ですが毎日3-4本のニュースが配信されます。これを現在英語・アラビア語・日本語にそれぞれ訳してWebは運営しています。

SNSはみなさんご存知の通りTwitter、Instagram、Facebook、YouTube等々多岐にわたり、これも多言語運用しています。

最後にマガジン「¡CADISTAS!」はいわゆるファン向け冊子で、選手インタビューや写真が載っており、地元のバルとかで置かれています。これはWeb版でも展開。

書き出してみると、Jリーグの各クラブと運営しているメディア自体は差はないですね。ただカディスCFの特徴として言えるのはその言語の多さ!特にTwitterはスタッフのメンバーも何言語あるかわからなくなるぐらい(笑)。

スペインは毎日テレビでも新聞でも100%サッカーのニュースが扱われるので、各メディアに取り上げてもらうためのコンテンツをクラブから多く発信することは結構大切な作業なのです。


③試合運営対応

試合前日には、リーグ戦、カップ戦に関わらずほぼ毎回監督・選手のインタビューを行います。今だと週2-3のペースで試合があるので、話すことも尽きそうですよね(笑)。ホームでの試合が近づいてくると発生するもう一つの作業が「アクレディテーション(AD)の発行」。スタジアムに入ることが許される人に渡すADの管理です。ホーム開催の試合には両クラブの選手、スタッフ、メディア、医療スタッフ等々で全部で100人以上の関係者が訪れます。この人たちのAD管理をカディスCFでは広報部で受け持つんですね。これ日本だと多分広報部はメディアだけ管轄して他は競技運営チームだと思うのですが、選手のリストも全部広報部で管理してAD作っています。

(個人的にこれ、広報の範疇超えてない?って感じで斬新でした)

試合日当日は上記のADリストを参考に関係者にパスを発行、試合中は各SNSを通して試合実況、試合後は監督と選手のインタビューをしてWebに掲載。夜キックオフの場合も朝から準備しているので、試合日はなが〜〜〜い一日となります。


以上はあくまでルーティーン業務であって、上のスタッフは過去カディスに在籍した選手の取材をしたり、メディアの問い合わせに答えたりといった仕事もしています。もちろんBチームやカンテラ、女子チームもカバー。

(そしてトップチーム以外の試合の量が尋常じゃない!)

スポーツ業界で働く人たちはどこの国でも同じかと思いますが、週末や祝日が関係ないので休みという休みがなく、常にみんな何かの作業をしている感じですね。UCLやUELに出場しているクラブのスケジュールは想像しただけで恐ろしいです。。。


Anaの小言

ラテンの国の特徴として、業務においても生活においても、明確なルールがないということが日本人にとってはストレスですね。担当者の気分ややり方によって対応の仕方が変わるので、結局こうしておけばいいというクリアな線引きがないのです。

(これちなみにイタリアに行くともっと顕著です)

マニュアルに沿って働いた方が絶対楽なのに…と思いますが、きっと彼らにとって効率よく働くことはゴールじゃないんですね。なので、地元の人たちの慣習を尊重しつつ、新しいことも取り入れていく。このバランス感覚を持つことを忘れないように気をつけています。


それでは、また!

#スポーツ #サッカー #ラリーガ #スポーツビジネス #欧州サッカー #スペイン

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