ラリーガの日本デスク代表も認める、日本サッカーの成長
ラ・リーガのことは中の人に聞くのが一番早い!
ということで今回はスペシャルゲストに、ラ・リーガ日本デスク代表のルベン・ゴンザレスさんをお迎えしお話を伺いました。
※本記事は2020年5月に配信した音声取材を記事化したものです
(ル=ルベン・ゴンザレス氏、CJ=カディスジャパン)
※インタビュー全編を聴きたい方は最下部から聴くことができます
ラ・リーガ日本デスク代表に至るまでのキャリア
「スペイン、イギリス、アメリカ、ブラジルを経て日本に来ました」
CJ:早速、ルベンさんの自己紹介をお願いできればと思います。
ル:みなさんこんにちは!まず初めに今日はご招待いただきありがとうございます。私は元々大学でジャーナリズムの勉強をしていましたが、卒業後の進路を考えた際、迷いなくサッカー関係の道に進もうと決めていました。職歴としてはまずメディアの道に入り、新聞社、ラジオ、アトレティコ・マドリードでも仕事をしました。25歳になったときに海外で働くチャンスがあり、イギリス、ブラジル、アメリカなどで勤務しました。4年前アメリカで仕事をしているときにスペインのラ・リーガからオファーを受け、コミュニケーション部門で仕事をすることになり国際的な仕事も担当しています。
CJ:イギリス、アメリカ、ブラジルではどのような仕事をしていたのですか
ル:イギリスではメディアコミュニケーションとして働いていたのですが、どこかの企業に所属していたのではなく個人で取材をしたり記事を書いたりしていました。ブラジルではスポーツメーカー関連の仕事をし、アメリカではスペインの新聞社「as」の現地支社で働いていました。
日本のサッカー市場に対する期待
「日本のスポーツビジネス市場は急成長している」
CJ:素晴らしいキャリアですね。本題に入りますが、ラ・リーガのジャパンデスクが抱えているミッションと、日々の業務内容について教えてください
ル:まず初めにお伝えしたいのが、現在世界には45のラ・リーガ支局があり、アジアでは日本の他にシンガポールにオフィスがあります。日本の担当は私一人なので包括的に事業に関わる必要があり、メディアコミュニケーション・TV関連・営業など様々なプロジェクトに携わっています。ラ・リーガは私が加入した4年前は100人程度の規模の会社でしたが、現在は600人程職員がいます。私の具体的な業務としては大きく分けて、1)ラ・リーガを放送しているTV局との関係を強化すること、2)コマーシャルの拡大、3)ラ・リーガの業務サポート、4)ビジネス面の強化(大使館や文化センターとの協業など)が挙げられます。
CJ:100人から600人というのは急激な拡大に見えます
ル:ハビエル・テバス氏の会長就任はラ・リーガにとって大きな転機でした。彼はラ・リーガはさらに成長する必要があり、その能力もポテンシャルもあると信じていました。ここ数年で放映権も上がり、ラ・リーガが急成長できた一つの要因になっています。またグローバル展開にも力を入れており、世界中で試合が配信されていることも成長の理由の一つです。他リーグと比べてラ・リーガは少し特殊で、世界中に支社があり、グローバル展開に力を入れている構造を持っていると言えると思います。
CJ:日本には多くのラ・リーガファンがいて、また日本人選手も多くスペインでプレーしています。日本についてどんなイメージをお持ちですか
ル:まず1つ、市場についての印象ですが、日本は大きなチャンスを持っていると思います。昨年のラグビーW杯や、今年開催予定だったオリンピックを見ても、ものすごい速さでスポーツビジネスが成長している印象です。そしてもう1つ、日本のファンについての印象ですが、スペインのファンと似たところが多くあるなと思っています。スペインで活躍をみせる乾選手、久保選手、岡崎選手、香川選手など日本人選手についてはスペインのファンからも多く問い合わせを受け、彼らのプレーを見ることに興味を抱いていることが伺えます。ラ・リーガのオフィシャルスポンサーとしてHIS、ソニー銀行がありますが、こういったビジネスを通してもさらに成長の可能性があると思っています。
CJ:HISの話がありましたが、先日レアル・マドリードが観戦ツアーを企画していましたね
ル:はい、もちろん知っています。ラ・リーガのブランディングをしてもらうことが収益にも繋がるので、WOWOWやDAZNとの取り組みもそうですが、ビジネスにおいて大切な取り組みと考えています。
CJ:HISやソニー銀行がスポンサーになった経緯は
ル:両社ともポテンシャルを持っており、スペインでのマーケット拡大を狙っていました。どちらも大きな企業であり、またスポーツに深く関係しているので、ラ・リーガとしても大きなチャンスとして捉えたためスポンサーとして迎えました。HISとしては、日本からスペインへ旅行客をより送客したく、サッカーだけではない文化的な魅力からも集客を図っている中で、将来的にはサッカークラブをより深く知る機会も作れたらと考えているようです。ソニーバンクに関しては、両替の手数料が収益となりますが、ラ・リーガに関わるアセット(ロゴや選手の写真)を使うことによって集客ができると考えていたようです。
タケ・クボの影響力とラリーガでも活躍が期待される若手Jリーガー
「Jリーグは、選手も、クラブも、ファンも素晴らしい。そして久保建英はヒーローだ」
CJ:アフリカでもお仕事されていたということで、日本も含め特徴はありますか
ル:前提情報として、日本では野球がNo.1で、サッカーに関しては若い人たちに人気のあるスポーツということを理解していました。アフリカについては、サッカーに関してはアジアよりも熱が高いと認識していましたが、様々な面で困難に直面しました。スポンサー探しやコマーシャル面も含み、サッカー業界の構造自体が複雑で難しい側面が多かったです。
CJ:具体的にアフリカの中ではどこの国で働いていたのですが
ル:モロッコ、セネガル、カメルーン、ナイジェリア、ケニア、タンザニア、アンゴラ、南アフリカです。
CJ:実際に日本に来てみて、スポーツやJリーグに対する印象はいかがですか
ル:Jリーグに対する印象はものすごくよくなりました。私が子供の頃から日本人選手やチームについては目にする機会があったので、横浜F・マリノスのことなどは知っていました。実際に日本に来てみて、ポテンシャルの高い選手やクラブが多く存在するように感じます。特にマジョルカに所属している久保建英選手はヒーローで、バルセロナにいたとか、レアル・マドリードと契約したからという理由だけではなく、彼がボールを触ると観客が沸くのが分かりました。彼が入ってからのマジョルカの試合は視聴率もかなり上がりました。また、Jリーグは間違いなくアジアで一番のサッカーリーグと言えると思います。選手の質、サッカーの面白さ、経済的な部分でもポテンシャルがあります。日本代表に関しても、スペインではみんな日本のサッカーが好きな印象があり、その中でも礼儀正しいプレーに興味を持つ人が多いです。いつもスペイン人が話す冗談としては、ストライカーだけ少ないですね、というところですね(笑)。Jリーグが歩んでいる道、スタッフのみなさん、プロジェクト全て素晴らしいです。
CJ:Jリーグで注目の選手やクラブはいますか
ル:日本のファン・サポーターは世界に誇れるぐらい素晴らしいと思っています。歌い続けたり、試合中応援し続けるスタイルはスペインとはまた違って、印象深いです。日本で初めてみた試合は横浜F・マリノスvs浦和レッズだったのですが、サポーターたちの止まない応援を見て携帯で動画を撮りました(笑)。この素晴らしい応援は世界にもっと伝えていくべきだと思います。ちなみに選手でいうと、西川潤選手(セレッソ大阪)はスペインで素晴らしい活躍ができると、個人的に思っています。
最後に、もっとラ・リーガを近くに感じてもらい、ビッグクラブだけではないクラブも応援してもらえるよう私たちもさらに努力していきます。カディスCFのことももちろん応援しています!今日はありがとうございました。
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